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2 聖美少女女学園2

2

その頃、生徒会長は、4人の生徒会役員に、

「いいこと。さっきの転校生のこと、常に見張ってちょうだい。何か気になることがあったら、すぐに報告して。それから、あの子の美人評価値を調べておいて。」


そして、放課後、あやかは、リカに、

「リカ、帰りにワックでお茶しない。今日は、初めて友達になった記念に、あたしおごっちゃう。」

「ええっ、いいの。やったあ。」

2人は、店につくと、あやかは、パッと店内を見まわし、いきなり走って席をとった。

「すごい。あやか、慣れてるわね。」

「そうそう。お店に入ったら、悠長なことしてられないわ。いつも混んでるからね。あたし、買ってくるから、リカ、席、とっといてね。何がいい?」

「えーと、ワックシェイクのチョコレートかな。」

「えっ、飲み物だけえ、いいわよ、バーガーとかも、何がいい?」

「じゃあね、ワクワクバーガーもいい?」

「まかせといて。あと、ワックあげあげポテトは、どう?」

「いいわね。あたし、ワックのポテト大好きなのよ。

注文したものを持って戻ってきたあやか、2人とも、久しぶりい、とか言いながら食べ始める。

「やっぱり、ポテトは、ワックよね。」

「今日、あたしなんて、くいしんぼバーガーを、久しぶりに食べるわよ。お腹すいちゃって。」

「あやか、悪いわね、なんか、色々と。まさか、飲み物だけだと思ってたから。」

「いいのいいの、実は、タネをあかすと、こないだ、ワックの千円の食事券当たったのよ。だから、本当は、自腹は500円くらいだから。」


すると、急に、神妙にしゃべりだすあやか、

「実はね、リカ、さっきも見てわかったと思うけど、生徒会会長たちが、色々と大変なのよ。会長もひどいけれど、あとの4人なんて、会長がいないところだと、さらに、他の生徒たちにいじめみたいなことが、本当に日常茶飯事なのよ。トイレでモップで叩いたり、バケツに入った水を頭からかけたりするのよ。本当にひどいでしょ。でも、生徒会には何も言えないの。先生に訴えた生徒もいたんだけど、今度注意しておくわ、って言ったきり、何もしてくれないの。」

「それは、本当に悪質ね。それに、会長も、ひどい校則とか決めているんでしょ。」

「そうね、でも、もちろん細かい決まりはひどいけど、何よりひどいのは、生徒会には、絶対に逆らわない、っていう校則ができてからね、特にひどいのは。」

「そんなの、校則でも何でもないじゃない。」

リカは、生徒会の横暴なやり方が気になって、実際にどういうことが行われているのか調べだした。


あやかから聞いている、被害にあった生徒から、話しを聞こうとするが、自分はそんなことはされていないという。また、あやかが目撃した、土下座をさせられていた生徒も、何かの間違いだと言って、自分のことは言わないでほしいという。


改めて、2人は、どうしたらいいのか考え直さないといけないという話しになった。

「あやか、このままだと、生徒会からのいじめや嫌がらせは、誰も証言しないと、ただの噂になってしまうから、被害にあった生徒から話しを聞くのはもう無理だわ。何か、直接、証拠になるものを掴める方法はないかしら。」

「リカ、それなら、こんな方法は、どうかしら。いじめの現場をこっそりスマホで撮影して、それを証拠として、貯めておくのよ。」


そして、2人は、何回もいじめの現場を撮影していった。

「あやか、私、今度の生徒会定例会の中の提案報告会で、先生たちもいる前で、ぜんぶ話して、改善を求めるわ。生徒会に、報告会での、発言許可の申請をしたから。」

「ええっ、すごいわね。でも、許可してくれるかしら。心配だわ。」

リカは3ヶ月に一度行われる、生徒会の定例会の中の提案報告会でいくつかの提案をしたいと準備を進めていた。

実は、提案報告会は、いつもその機会が与えられているにも関わらず、提案を聞き入れないように圧力がかかり、いつも発言を阻止されて、中止になっていた。

「あやか、私の提案の発言許可が降りたわよ、よかったわ。今度は、証拠もあるし、今度こそ、きっとやってみせるわ。」

「ええっ、本当に!信じられない。今まで、いつも許可が通ったことなんてないのに。どうしてかしら。なんか、心配だわ。」


今回の提案報告会については、リカからの提案があることを事前に許可されていた。いつもは、必ず提案報告会の前に、提案が無効になっており、今回だけ発言の機会が与えられていたことを、あやかは、とても不思議に思い、何か嫌な予感がしていた。


そして、いよいよ、定例会が始まり、生徒会からの様々な報告が読み上げられる。3ヶ月間の生徒会の活動報告とその結果報告がなされた。

次に、提案報告会が始まり、リカの発言の時がやってきた。


「2年A組の脚立理香です。当校の校則によって、美人評価値の数値の大きさによって、自分の数値より、数値の大きな人の言うことに必ず従わなければならないというのは、それは、単なる顔の良し悪しで、人の価値を勝手に決めて、人の優劣をつけるのは、ただの差別だと思います。当校に入学する条件として、美人評価値を判断することは、別に入学の基準だけならかまわないですが、入学後も、数値によって、人の優劣をつけて、行動まで制限されるのは行き過ぎだと思います。それから、生徒会には、決して逆らわず、必ず従う、という校則も、ありえないことで、やりすぎかと思われます。よって、校則の改定を求めるものであります。それから、実際に、生徒会からの生徒たちへのいじめがあって、証拠として、撮影した画像も用意してあります。その点についても、宜しくお願い致します。」


すると、生徒会役員の1人、茜が発言をした。

「何を言ってるの。証拠なんて、どこにあるって言うのよ。くやしかったら、見せてごらんなさいよ。」

すると、あやかは、やったとばかりに、

「わかったわ。今、見せてあげるわよ。私のスマホに、、、。えっ!」

急いで、スマホを見てみたが、すべて削除されていた。しまった。

「昨日の、体育の時間だわ。やられた。楓の仕業ね。」

生徒会役員の1人、風乃下かぜのげ かえでの仕業だ。楓は、スマホのことならなんでもできる。セキュリティをかいくぐるのも簡単なことなのだ。


茜は、勝ち誇ったような顔で、

「どうなの?くやしかったら、見せてごらんなさいよ。」

すると、リカが、

「あやか、大丈夫よ。校長先生、お願いします。」

すると、舞台に設置されたモニターに、土下座する生徒や、胸を押される生徒の姿が。

「どう。一昨日、念のために、校長先生に頼んで、撮り溜めた画像は、先生のスマホに送っておいたのよ。これを見ればわかるわよね。」

すると、茜は、

「それは、、、。」


すると、間髪入れずに、生徒会会長が、

「あらっ、校長先生、これ、よく見て下さいね。これは、違反した生徒に、生徒会役員が、注意をしているところですわ。土下座しているのは、生徒の方から、勝手に謝っているだけで、何の問題もないでしょう。胸を押しているように見えるのは、ただ手を前に出しているのが、そう見えるだけでしょ。誤解されるような映り方になって、撮影のタイミングが悪かったのね。」


校長も、それに対して、

「そ、そうね、そう見えないこともないわ。」

言われるままに、そう答えるしかなかった。

今回の画像を撮っていた時には、たまたま、生徒をモップで叩いたり、水をかけたり、ということがなかったという運が悪かったのであった。


「それから、脚立さん、たとえば、あなたの訴えが万が一にも正しかったとしても、当校の校則の改定を求めるには、それ相当の美人評価値がなければ、改定を求めるばかりか、発言が許可されないのよ。あなた、わかっているのでしょうね。」


すると、生徒会会長が、茜の発言をさえぎって、

「茜、ちょっと待ちなさい。まさか、知らないわけはないでしょう。脚立さんは、少なくとも、私たち、生徒会5人に並ぶだけの美人評価値をお持ちなんだと思うわ。万が一、そんな美人評価値の低い人が校則の改定を言い出せば、それだけでも、校則違反で退学になるのだから、まさかそんなことはないわよね。ところで、脚立さんは、美人評価値は、その数値はいくつかしら。」


しまった、やられた、と、あやかは思った。この機会を利用して、わざと生徒会より低い美人評価値のリカに発言をさせて、校則違反を理由にリカを退学に追い込もうとしていたのだ。


すると、リカは、慌てることもなく、言った。

「あっ、ごめんなさい。そういえば、私、自分の美人評価値を忘れてしまったわ。すみません。校長先生、今、ここで、改めて、美人評価値を測定してもらってもいいですか。」


そう言いながら、何かで、顔をぬぐうリカ。

「そう。仕方ないわね。今すぐに、舞台に測定のための機器を用意するわ。」


舞台に上がって、測定器を覗きながら、操作する校長先生の表情がみるみる変わっていく。そして、

「あっ、脚立理香さんの、美人評価値、は、えっ、えーと、あのう、、。」

焦る生徒会長、


「何してるのよ、校長。どうしたの、早く言いなさいよ。」

「脚立理香さんの、美人評価値は、、、96、です。今まで、当校設立依頼、最高数値です。信じられない。」

すると、生徒会会長は、うろたえながら、

「そ、そんなこと、あるわけない。ありえないわ。何かの間違いよ。私だって、92なのよ。これだって、奇跡の数値だっていわれているのに、それを4ポイントも、上回るなんて、絶対おかしい。あなた、入学した時、83だったじゃない。」


すると、舞台の後ろにあるモニターに、リカの顔が大写しになった。すると、生徒全員が、それをみて大騒ぎとなっている。

みんな、あのモニターの顔をみて、呆然としている。口々に、納得している声。


すると、校長先生から、

「生徒会会長、あの後ろのモニターをよくみてごらんなさい。あれをみれば、もう何も言えなくなるのよ。」

そこには、生徒会会長の美貌を、超えているリカの顔が映し出されていた。


実は、このことは、入学前に遡るのである。

この美人揃いの学校に入学することで、リカが目立たなくなることは、リカだけではなくて、リカのお母さんも嬉しく思っていて、早速、学校に下見にきていた。すると、多くの生徒たちが休み時間に外に出ている。なるほど、評判通り、生徒たちは、美人揃いで華やかな雰囲気が、お母さんも、とても気に入っていた。それで、たまたま近くにいる生徒に声をかける。


「突然でごめんなさいね。あなたって、美人評価値って、いくつなの?」

続いて、何人かの生徒たちに、聞いてみた。なるほど、ふむふむと思いながら、家に帰ったお母さんは、家に着くなり、

「リカ、ちょっと来てちょうだい。大変よ。今、聖美少女女学園に行ってきたわ。それで、何人かの生徒さんに美人評価値をきいてみたのよ。そしたら、大変なことがわかったの。入学に必要な美人評価値は、80以上なんだけど、多くの生徒たちは、ギリギリ80とか81くらいの子ばかりなんだけど、確かに、一般よりもかなり美人だったのよ。だけど、リカ、あなただったら、残念ながら、簡単に90は超えるわね。95くらいは行ってしまうんじゃないかしら。だから、美人の中で目立たないために入学するのだったら、素顔のままであの学校に行くというのはダメね。それに、生徒会会長が、93だっていうから、あなた、それを超えたら、生徒会会長になっちゃうわよ。だから、少し美人度が下がるようにメイクしないとダメよ。だけど、入学には80以上が必要だっていうから、評価値が下がり過ぎてもいけないから、うまく微妙なところまで数値を下げないといけないわよ。」


そして、何日かかけて、美人度を80くらいまでさげるメイクをやっと考えだした。

それからというもの、朝は少し早起きして、お母さんが、美人度が下がるようなメイクをしてくれた。そして、今回は仕方なかったので、メイク落としで素顔を出したのである。


すると、モニターをみて、叫ぶ生徒会長、

「なんてこと!脚立さんがこんなに美人だったなんて。これじゃあ、私が勝てるわけないじゃない。私の生徒会会長の座も、もうおしまいね。」

生徒たち全員、驚きを隠せない。あやかも戸惑っている。


「リカ。あなた、すごい、綺麗よ、綺麗すぎる。生徒会会長を超えるだなんて、そんなことって、ありえる?」

リカは、これ以上、話すことはなかった。その場の空気が一変してしまって、自ら、これで学校を去るしかないと感じていた。そして、ゆっくりと、舞台から下り、荷物をまとめようとしていると、校長先生が、リカの本へ駆け寄る。


「脚立さん。待ちなさい。あなた、どこへ行くの。まさか、学校をやめないわよね。」

「えっ。」

「あなたは、たった今から、生徒会会長に就任よ。」

「いえ。私は、、、。」

「何を言うの。学校の決まりを知っているでしょう。あなたが、現在、美人評価値は、トップなのよ。それも、これから先、おそらく何十年も更新されることのない数値にちがいないわ。」


リカは、そんなことは、もうどうでもよかった。素顔がバレた以上、もうここにいることはできない。校長先生の申し出をさえぎって、出口に向かおうとするリカ。すると、あやかが駆け寄ってくる。


「リカ、お願い。校長先生の言う通り、生徒会会長をやってちょうだい。リカは、今、美人評価値で生徒たちの優劣がつくの、おかしいって言ったじゃない。変えてほしいって言ったじゃない。今度は、それを変えることができるのは、リカしかいないでしょ。美人評価値が奇跡的な数値になったリカ。もうあなたに逆らえる人は、この学園には誰一人としていないのよ。今こそ、あなたによって、この学園は変わることができるのよ。どうか、生徒たちみんなのために、この学院の未来のために、どうかお願い。」


リカは、ゆっくりと頷くと、荷物を置いて、舞台上に戻っていく。そして、

「およばずながら、たった今、本校の生徒会会長に、就任しました、脚立理香です。これから、皆さんと一緒に、この学院を変えていきましょう。」


生徒全員から、拍手喝采となり、リカは、発言を続ける。

「そして、生徒会副会長に、雨宮美咲さんにお願いして、その他の生徒会役員は、これまでの4人にお願いします。経験が長いから、私に色々と教えて下さいね。」

すると、思わず涙する5人。

「脚立さん、、、。」


それから、生徒会は、全校生徒から、今後、学校に要望することについてのアンケートをとり、早急に必要な事柄をまとめて、どのようにしていくか、毎週のように会議を行なった。

そして、まず、次世代からの生徒会会長は、全校生徒からの立候補生とし、全校生徒全員の投票にて、決定することとし、美人評価値については、校長先生の希望する条件として、入学時の判断としてのみ残し、入学した後は、全く数値による影響をなくし、全校生徒には、本人以外には明かされないこととした。このことにより、生徒間の上下関係もなくなり、互いに優劣を気にすることもなくなったのである。そして、リカは、高3に進んでも、生徒会会長を勤め、元の生徒会役員5人と共に、改善されてゆく学校を見つつ、卒業式を迎えた。

リカに駆け寄るあやか。


「リカ。とうとう、卒業ね。あなたのおかげで、学校も変わり始めて、本当に感謝するわ。あなたが、この学校にこなかったら、ずっと、美人偏差値でみんながんじがらめだったと思う。やっと自由になった気がするわ。」

「私も、きてよかったわ。あやかも色々とありがとう。」


すると、校長先生が、リカの下にやってきた。

「脚立さん。あなたは、本当によくやってくれたわ。私たち、間違っていたわね。女性は、美人に生まれることは、大きな一つの才能だとは思うけど、私は、それが女性にとって、人としての価値とは関係ないと、やっと気づくことができたわ。本当にありがとう。」


「まだまだ、この学園も変わることは多いと思いますけど、もう大丈夫だと思います。本当によかったです。」

すると、遠くから、声がする。

「リカ。卒業、おめでとう。」

「あっ、私の母です。」


リカに駆け寄る母、校長先生に向かって丁寧に頭を下げる。

「これまで、娘がお世話になりました。ありがとうございました。」


「えっ、こちら、脚立さんのお母さんなの。ええっ、なんて、お綺麗な方なの。脚立さん、この方の娘さんなら、これだけ美人に生まれるはずね。まさか、教員免許とかお持ちとかはないですか。あれば、当校にぜひ来てほしいわ。他の事務処理の仕事でもいいですけど、とにかく学校で働けませんか。こんな美しい方。」

「やれやれ、校長先生の美人好きは、やっぱり治ってないわね。」

「あらあら、ごめんなさい。ついっ。やっぱり、女性は美しくなくちゃ。女性は、綺麗に生まれたら、絶対に人生得するわよ。」

「もう。校長先生ったら。」

みんなで顔を見合わせて笑い合った。この学校も以前のようなわだかまりは、すっかりなくなっていたようだった。


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