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1 聖美少女女学園1

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皆さんは、美人やイケメンについて、どう思いますか。そりゃあ、自分も美人やイケメンに生まれたかったと、多くの人は、そう思うのかもしれません。そういう人を見て、羨ましいと思うこと、誰でも経験したことあるでしょう。しかし、羨ましいなんて、とんでもないと思うくらいハイレベルな女子たちが、この世には存在します。これは、そんな女子たちの物語なのです。


「だから、もうケンカしないで!2人とも、もう遊ばないからね!」


呆然とする男子が2人。彼女は、そう言うと、駆け足で去って行った。

その2人の小学生は、言葉がなかった。走って行った彼女の名前は、脚立理香あしだて りか。通称 リカ。

今日も、彼女の取り合いで、男子がケンカを始めたのだ。それもそのはず、彼女は、いつでも男子が取り合いをするほど、とんでもなく、かわいいのです。世の中、かわいいとか美人の人はいくらでもいますが、彼女のかわいさは、常識を超えている。彼女は困って、クラスメイトの女子たちに相談すると、誰もが真剣に取り扱ってくれず、口々に、こう言われる。


「あたしも、男子たちに取り合いされて、悩んでみたい。」


彼女は、そんなふうに、いつも言われて、結局、女子から敬遠される。最後には、ケンカする男子を相手にせず、女子からも羨ましがられて、妬まれて、相手にされない。だから、彼女は、いつでも一人ぼっちなのです。


だいたい、家族で出かけても、必ずスカウトの人たちがやってくる。おちおち外出もしていられない。

中学生になり、少しずつ大人っぽくなって、ますます、その可愛いさと美人度の勢いは増してくる。彼女を一目見ようと、他のクラスからもやってくるなんて、当たり前のこと。学園祭などは、他校から聞きつけた学生が大勢やってくるので、学校は大混乱。ある時は、彼女のファンクラブを作ろうと、クラスメイトが動き出し、それを阻止するのに、彼女はどんなに苦労したことか。とても羨ましがられている場合じゃないのです。中学生の頃は、出かけると、ナンパの数がとんでもなく、そのせいで、彼女は外出が嫌いになってしまうほどなのだ。


それもそのはず、彼女の両親は、一般人だが、2人とも美男美女で、芸能人でないのが不思議と言われるほどの2人なので、その両親から生まれた彼女は、まさにサラブレッド。子供の頃から、かわいいだけでなく、透明感も半端でない。ましてや、成長して、大人っぽくなるほど、綺麗さが溢れてくるのです。


ある日、リカは、高校2年に上がる時、母親に相談を持ちかけた。


「お母さん、あたし、相談があるんだけど。」

「なに?モテすぎて、どうしたらいいか、ってこと?」


母親は、天然すぎて、真剣に取り合ってくれない。


「もう!真面目に話してるのに!このまま有振田高校ありふれたこうこうじゃなくて、高2からは知り合いが誰もいない聖美少女女学園に行きたいのよ。あの高校は、女子校だし、偏差値が高いから進学校だし、なによりも、美人じゃないと入学許可が降りないんだって。それなら、あたしが入っても、全然目立たないと思って。いいと思わない?」

「いいじゃない、リカが行きたいなら。じゃあ、お父さんに話しておくわね。」

「ほんと!やったあ、ありがとう。」


そして、編入試験を受け、面接を受けて、あっという間に合格。入学許可が降りて、編入当日を迎えた。

リカの編入希望した聖美少女女学園は、美少女学園として有名な進学校であり、もちろん頭がよくなければ入学できないのだが、また、美人評価値といって、当校の校長の測定器等の判断により美人度のその評価値が、80以上でなければ、入学することはできない。校長はとにかくダントツで綺麗だし、他の教師も全員女性で、かなりの美人揃い、全校生徒も美人ばかりであり、頭脳明晰に加えて、女性の美しさも才能の一つとして認めている、全国からも女性の憧れの高校なのである。どんなに美人であっても、ここでは全く目立たなくなってしまう。もちろん、リカは、これにもパスしたのだった。しめしめ、これであたしは今日から、今までのリカじゃない。モテモテのリカはもういないのよ。これから、気にしないで高校生活が送れるわ。

ここにくれば女子ばかりだし、こうしていざ来て見れば、かわいい子ばかりで目立たなくて済む。モテモテ終了作戦は、見事に成功よ。


クラスに案内されて、転校生として紹介された。

「はじめまして。脚立理香あしだてりかといいます。宜しくお願いします。」

一応、みんな拍手して歓迎してくれて、とりあえずやれやれ。席が決まって、すわると、隣りの子が、人懐っこそうに話しかけてきた。


「こんにちは、リカさん、私、膝内綾香ひざうちあやかよろしくね。ごめんなさい。脚立さんて、呼びにくいから、リカさんでいい?」

いきなり、初日に初対面、本当に人懐っこい子なのだ。その上、笑顔もかわいいのだ。


「うん。リカでいいわよ。よろしくね。私からは、あやか、でいい?」

「もちろん。ねえねえ、いきなり聞くけど、あなた美人評価値いくつ?」

唐突で驚くリカ、

「えーと、83だったわね。」

すると、あやかは、すごい嬉しそう。

「ええっ、本当に!私、81でギリギリよ。でも、席が近くてよかった。私たち、良い友達になれそう。ここに来ている子たち、みんな、85以上が多くて、すごい綺麗でかわいくて、あたしだって、ここにくるまでは、かわいいとかみんなに言われてたのに、ここじゃあ、ブスの仲間入りみたいな扱いよ、ひどいでしょ。」

「えっ。膝内さん、じゃなくて、あやかだって、全然かわいいわよ。」

「ほんとうに?うふふ、でも、慰めてくれなくても、大丈夫よ。もう慣れたから。」


休み時間もあやかは、自分にべったりである。よく周りを見れば、あらあ、あやかがそこまで可愛く見えない!この学校のクラスは、一学年が5クラスあって、1クラスは40人、女子校なので全員600人が女子なのです。改めて、各クラスをのぞいてみると、なるほど、全員が美人評価値80以上に合格した女子ばかりだというけど、実際にはもっと上かも、さすがの美人揃い。これじゃあ、あやかも普通に見える。


ある日、廊下であやかと話しをしていると、突然、あやかが、


「リカ、急いで、こっちに寄って。」


えっ、驚く間に、パッと廊下の脇によける2人。すると、数人の女子がゆっくり歩いていく。あっ、あれは?誰?


「リカ、あれがうちの学校の生徒会会長と生徒会役員よ。生徒会会長は、学校の美人評価値のトップで、生徒会役員は、評価値の全校の上位2位から5位(茜、楓、瞳、颯の4人)までの4人が選ばれるのよ。それで、あの生徒会会長は、今年で2期目の、雨宮美咲あめみやみさきよ。これまでの学校の美人評価値で初めて92を出した人で、学力の偏差値も学年でトップ。歴代の生徒会会長は、通常は一期一年だけど、あの人だけは、異例の2年目をやっているすごい人なの。とにかく、もう、校則は、あの人がほぼ決めているような状態で、先生たちも頭が上がらなくなっているの。お父さんが、政治家で、とても権力をもっているからかしら、余計にね。もう怖いものなしなのよ。」


みると、真ん中に1人、その左右に2人ずつ、5人が並んで歩いてきた。他の生徒たちもみんなよけている。

なるほど、この5人は、さっきみた他のクラスの女子たちとは、段違いに美人である。美人評価値は、きっと90を超えているのだろう。そして、真ん中の1人は、その中でも美人さはダントツである。リカの目からみても、かなりのレベルだったようだ。


しかし、最近では、この学園の中で、この5人がやりたいようにやっていて、校則を色々と自分たちの都合のいいように変えたりしているようである。たとえば、廊下で女子同士が、たまたまぶつかりそうになったら、より美人評価値の高い人の方が優先されて、低い方が避けるとか。この生徒会の5人が言うことには、絶対に逆らってはいけないとか。

とにかくやりたい放題で、最近は、かなり生徒たちはひどい目にあっていると噂が広まっていて、とどまるところを知らない。


すると、リカのことに気がついて、雨宮美咲は、リカに声をかけてきた。


「そこのポニーテールの子、見かけない顔だけど、転校生?」

「あっ、はい。はじめまして、私、転校生の脚立理香です。雨宮さん、宜しくお願いします。」


すると、あやかは、すかさず、

「生徒会長、ごめんなさい。まだ、脚立さんは、転校したばかりで、何も知らないんです。生徒会長のことも名前を呼んだらいけないっていうのもまだ伝えてなくて、失礼しました。」

「人に失礼なことをして、知らなかったからというのは、言い訳でしかないわよ。よく教えといてちょうだい。脚立さん、あなたのこと、覚えておくからね。」


そう言い残して、5人は去っていった。

「ふうっ。なかなか厳しそうな人ね。生徒会長さんは。」

「そうなのよ。でも、ここでは、生徒会長に睨まれたら、卒業まで良いことないわ。もはや、先生たちよりもえらいからね。校長先生だって、生徒会長には、一目置いてるの。校長先生は、生徒たちに、もちろん学力も求めているけど、それ以上に、どれだけ美人が好きなのかって感じよ。だから、生徒会長は、全校生徒600人の中でも、圧倒的に美人じゃない。だから、校長先生からの大のお気に入りなのよ。悔しいけど、1人だけ、ずば抜けてるものね。」


「ふーん。そうなんだ。顔が綺麗なだけなのにね。」

「そうねえ。私もそう思いたいんだけど、生徒会長は、その綺麗さが、ちょっと私たちとの差がありすぎるって、正直思うのよ。所詮、私たちには、とてもかなわないわ。」

「だけど、どんなことでも、美人なら許されるっていうのは、何だかな、って思うけど。」

「そうなんだけど、そう思うのって、美人じゃない人のやっかみだって言われちゃうじゃない。」

「そうかなぁ。」

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