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手帖と組紐と勲章と鉱石  作者: yuzoku
手帖の章
2/10

飛空艇 〜雲の上の出来事〜

腹の虫が鳴って、目が覚めた。目の前の通路には、鼻筋の通ったお姉さんが立っている。その前には、たくさんの弁当箱とジュースを積み込んだカート。


もう機内食の時間か。慣れない寝床だったが、意外とぐっすり寝ていたみたいだ。機内に配慮したメニューなのか全く匂いはしなかったが、この体はどうやら気配でメシを嗅ぎ取ったらしい。


どうやら2種類あるらしいが、聞き取れなかったので、隣の客が頼んだチキンを異口同音で伝える。


添乗員のお姉さんはニコッと笑い、簡易トレーを優しく引き出してくれた後に頼んだブツを置いてくれた。



そこからは時折り尿意を催す以外は、何の刺激もない時間が続いた。



持ち込んだ本にも飽きた頃、2回目の配膳が回ってきた。


さっきまでの教訓を活かし、目の前の簡易トレーを広げ、添乗員と2列前の乗客のやり取りに耳を集中する。


どうやら魚とオムレツが選べるらしい。じゃあ魚でしょと心に決め、自分の順番で伝えた。隣の客はオムレツを頼んでおり、それを見て愕然とした。


オムレツセットはなんとソーセージとホクホクのジャガイモが入ってるではないか!こっちはグリンピース入りの白ご飯だと言うのに。


敗北感と後悔で荒れ果てた大地には、魚にかかった濃厚なソースでは潤わなかった。


カットフルーツの種類にも言いたいことがある。一口サイズの黄色が1つ、オレンジが1つ、緑が3つ。


なぜメロンだけ3つも入っているのだ!!!


全く自慢にはならないが、どんな高級な品種だろうが、オレは人生でメロンがウマイと思ったことは一度もない。

大好きなリンゴとオレンジは、一欠片ずつだ。メロン農家と飛空艇会社に癒着でもあるんだろうか??「現地に到着したら早速調査しないといけない」旅の目的とは全く関係ない部分で、到着後の決意の炎が燃えていた。


ブルベリーソースのかかった粘り気のあるアイスを食べた辺りで、ようやく溜飲は下がった。


飛空艇に乗ったからって、オレの人生がキレイにリセットされるわけじゃない。また戻るし。ただ、今は外国の旅を楽しもう。そして無事に帰って来れるよう、死ぬ気で生きよう。

野生に戻り、知性をくすぐり、感情のままに笑い泣き、魂の声に従おう

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