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インタビューの人

作者: 漢信彦

 世界の終わりに何をしますか

 私の仕事は人の話を聞くこと。内容なんてどうでもいい、ただ記事にして新作の飲料品や美容品の広告を付けるだけ。誰も私の記事なんて読まない、スポンサーも記事の内容なんて気にしていない、自社の商品の広告がどこでも見かける、そういう戦略らしい。

 消費者は、見たことあるという動機で商品を買う。本当に必要だから買うのではなく、みんなが持ってるから、広告で見たことあるからいいものだなんて。何カ月も使ってますみたいな顔して言っている。

 最近の企業は物量作戦で、どんどん広告を出したいのか何社からも依頼がくる。何件かに一回どんな記事を書いてるのか質問がくるが、仕事を依頼する前にそれぐらい調べるだろと思いつつ、どんなことでも記事にします、何か要望とかありますか?と聞く。ほとんどが何もないただ聞いただけ、それが仕事だなんていうヤツもいた。

 ある日インタビューしている時に、仕事の依頼をしたいという女がきた。会社ではなく個人で依頼は初めてだった。広告をつけなくていい、ただ女の指示する内容の記事を書いてほしいという依頼だった。女が何をしたいかわからないが、金がもらえるならどんな記事でも書く。そう女に言った。

 依頼内容は「世界の終わりになにをしますか?」だ。何度もこすられたネタだが何を期待しているのか、私は早速インタビューに向かう。町にいる老若男女に話を聞いたが、どいつもこいつも聞き覚えのある事ばかり言う、若者は好き放題暴れ老人は静かにその時を待つ。そんなことを記事にした、女に一度確認してもらうと今回の報酬が渡された。報酬は私の仕事十回分あり、何かの間違いじゃないか?と女に聞いた。

 女は、間違いじゃないよと言った。お金はもう価値がなくなる、これから面白いものが見れるよというと私を連れて町が見渡せる高台へ向かった。あと十秒ぐらいかな?というと緊急警報が鳴った。地球に隕石が向かっている映画みたいな速報。


「これのために今回の仕事を依頼したの?」


「町を見てて」


 女が楽しそうに町を見ている。町にはさっきまで世界が終わるなら暴れてやると言っていた若者、が腰を抜かし泣いていた。老人は何としても生き残ろうと必死になっていた。


「見た?さっきまで言ってたことと今やってることが逆の奴らしかいないよ。みんな知らない間に洗脳されてたの、映画、ドラマ、アニメ、漫画、広告にだっれも自分の人生を生きてなかったの。死ぬ間際に初めて自立できるそれが人間」


 私が最後に見たのは楽しそうに話す小さな女神だった。

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