表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/20

告白

そう、動揺した。

心臓の鼓動が強く律動して、俺の体を揺さぶる。手が震えるし、頬がふにゃふにゃに緩んでいく。おそらく俺は赤面している。

心の底から、彼女と俺が両思いだと言うことに喜びを感じていた。

俺は彼女から告白をされる。

透明人間の俺が、高嶺の花である彼女から告白をされる。一体何の奇蹟が起きているのかはわからない。

ただ、確かなのは、この先に待ち受けているのは幸福だった。


彼女は甘い吐息を漏らしながら、物欲しそうに呟く。

「まだ....かな」


俺は拍子抜けるように思った。

 今までの悶々とした感情が、湯冷めしたように消えていって、むしろ自信が湧いてくる。

 俺の人生はここで変わるのだ。

 彼女と愛し合い、希望の道へと歩むのである。そのためにも、俺は彼女へ返事をするのだ。

 

 はい

 

 と

 

 俺はそっと、曲がり角から身を投げ出して歩いた。

 彼女は俺に気がつくと、驚いたのか、一歩だけ、後退りをした。

 そこには嫌悪感はなくて、むしろ来てくれたということに安心をしたような、そんな穏やかな表情。


俺は彼女に恐る恐る尋ねる。胸の鼓動が鳴り止まなくて、嬉しさが込み上げて、そして恥ずかしさのあまり、俺の赤面は引くことを知らない。少しそっぽを向く。


「桃山さん。お、俺に何のようかな」


彼女は驚きながら、変な声を出して振り返る。

「ひゃっ」

彼女の顔は赤くなっていた。俺の顔を見ると彼女の顔はさらに赤くなる。

そして、しばらく間を開けて、彼女は確かめるように「タカジョウくんで、いいんだよね」そう尋ねてきた。

無論俺は誰でもない。高城長夜だ。

「当たり前だ。俺以外に誰がいる」


「あっ、うん。そうだ、そうだよね。ごめんなさいタカジョウくん」

「いや、別に謝らないくてもいい」

それからしてお互いに、黙り込んでしまった。

赤面を保ちつつ、顔を伏せる。

何をやってるんだ俺は、何か、この気まずい状況を打開しなければ、俺はそう思って、沈黙を引き裂こうとした。「あの」

そう言葉を告げようとした時、先に声を発したのは彼女だった。

恥ずかしそうに、でも頑張って、声を震わせながら彼女は言う。

「その、今日タカジョウくんをここに呼んだのはね、その....手紙の通り私....」

俺の耳が彼女の甘い声を捉える。




「タカジョウくんのことが好き」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ