告白
そう、動揺した。
心臓の鼓動が強く律動して、俺の体を揺さぶる。手が震えるし、頬がふにゃふにゃに緩んでいく。おそらく俺は赤面している。
心の底から、彼女と俺が両思いだと言うことに喜びを感じていた。
俺は彼女から告白をされる。
透明人間の俺が、高嶺の花である彼女から告白をされる。一体何の奇蹟が起きているのかはわからない。
ただ、確かなのは、この先に待ち受けているのは幸福だった。
彼女は甘い吐息を漏らしながら、物欲しそうに呟く。
「まだ....かな」
俺は拍子抜けるように思った。
今までの悶々とした感情が、湯冷めしたように消えていって、むしろ自信が湧いてくる。
俺の人生はここで変わるのだ。
彼女と愛し合い、希望の道へと歩むのである。そのためにも、俺は彼女へ返事をするのだ。
はい
と
俺はそっと、曲がり角から身を投げ出して歩いた。
彼女は俺に気がつくと、驚いたのか、一歩だけ、後退りをした。
そこには嫌悪感はなくて、むしろ来てくれたということに安心をしたような、そんな穏やかな表情。
俺は彼女に恐る恐る尋ねる。胸の鼓動が鳴り止まなくて、嬉しさが込み上げて、そして恥ずかしさのあまり、俺の赤面は引くことを知らない。少しそっぽを向く。
「桃山さん。お、俺に何のようかな」
彼女は驚きながら、変な声を出して振り返る。
「ひゃっ」
彼女の顔は赤くなっていた。俺の顔を見ると彼女の顔はさらに赤くなる。
そして、しばらく間を開けて、彼女は確かめるように「タカジョウくんで、いいんだよね」そう尋ねてきた。
無論俺は誰でもない。高城長夜だ。
「当たり前だ。俺以外に誰がいる」
「あっ、うん。そうだ、そうだよね。ごめんなさいタカジョウくん」
「いや、別に謝らないくてもいい」
それからしてお互いに、黙り込んでしまった。
赤面を保ちつつ、顔を伏せる。
何をやってるんだ俺は、何か、この気まずい状況を打開しなければ、俺はそう思って、沈黙を引き裂こうとした。「あの」
そう言葉を告げようとした時、先に声を発したのは彼女だった。
恥ずかしそうに、でも頑張って、声を震わせながら彼女は言う。
「その、今日タカジョウくんをここに呼んだのはね、その....手紙の通り私....」
俺の耳が彼女の甘い声を捉える。
「タカジョウくんのことが好き」