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謎の便箋

いつものように、通学路で、いきなり叫んだらどうなるんだろうなどと頭のおかしい妄想をして、学校へと向かう。

 今日は持ち物検査だったが、俺は透明人間であるから、堂々と受けずに校門を素通りする。

 つまらない、退屈な朝だ。

 友達さえいれば少しはマシな朝を過ごせるのだろうけれど、オタクでさえも友達がいると言うのに俺には友達ができない。

 俺はスクールカーストの枠組みに入るどころの問題なのだ。

 そのことに絶望しながら、玄関の暗がりの下駄箱に向かう。俺の下駄箱は一番奥の、一番下だった。

 上履きが取りにくいったらありゃしない。

 そう腰をかがめながらとびらを開く。

 何かが落ちる音がした。俺は不思議に思いながら手を伸ばして、触れてみる。

 薄い紙のようなものが入っていて、取り出すと、それは白い封筒だった。

 封筒の閉じ口に、赤いハートのシールがはっつけてある。

「なんだこれ」

 俺はその重要なものが、一体なんなのかわからないまま、閉じ口を開いて、中身を取り出して、紙を広げる。

 淡い桃色の便箋、その一業目に書かれていた文字は、『私はあなたのことが好きです』

 という文字だった。

 

 誰かに後頭部を鈍器で叩きつけられるような痛みが走った。

「いてえ!」

 しかしそれは俺が動揺して下駄箱に頭をぶつけただけであり、わざわざ俺を攻撃するような輩などいない。

 それでも俺は辺りをキョロキョロと見回して、警戒をした。そして千鳥足で男子トイレの個室へと向かい、そこで手紙の内容を改めて見返すことにした。

 ハート型のシール、そして桃色の便箋。一業目に書かれた好きと言う単語。なにが好きなんだ? すき焼きが好きなのか?

 え?

 俺は困惑しながら、もう一度見返してみた。

 封筒の裏には高城長夜という名前が刻み込まれている。

 紛れもない、俺の、名前だ。

 初めてだ。この学校で名前を呼ばれたのなんて、いや、知っている人がいるなんて初めてだ。

 誰だ。誰なんだ、この手紙を入れた奴は。俺を認識したのは何者だ。

 

 それにこの封筒はなんなんだ?

 

 

 まさか……とは思うが——————————

 

 

 

 ラブレターなのではなかろうか

 

 

 

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