表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/20

失恋と妄想

その時、彼女が何を喋っていたかなんて覚えていないし、頭に入ってこなかった。

春の温かな光に包まれだの、この学舎で精進だの言っていた気もしなくはないが、俺はただただかに見惚れていた。

恍惚とした表情を俺は浮かべながら、彼女との学校生活を夢見て想像を膨らませる。

彼女に告白をされ、付き合い。初めて手を握りしめる妄想。初めてのデート。誰もいない場所で初めてのキス。

なんて妄想したところで、そんなものは実現しないことなど自分自身でもわかっていた。

何故なら俺は彼女に見合うような人間ではなかったからだ。

俺には誇れるものが何もなかった。

顔がいいわけではない。多分中の中だと、思いたい。そんぐらいだ。

頭は良くない。どっちかといえば悪い方だ。中の下くらいで、だから俺はあんなアホなことをやってのけたのかもしれない。

スポーツなんて破滅的だし、会話能力に関しては、問う以前の問題である。

俺には友達がいない。

俺には何もない。何もなかった。

彼女に釣り合う何かがないのだ。

だから、俺が彼女を好きになっても、彼女の心は動きもしないし、擦りもしない。

だから俺は、恋をした瞬間。失恋をしたんだ。

諦めという形で俺の恋は終わった。




それでも俺は妄想をやめなかった。



段々と関係は深まり、そして学校の誰もいない教室で初めてを迎える。

ああ、ああ、彼女と是非ともお付き合いしたい。お突き、愛したい。


そんな気持ちの悪い妄想をしているうちに、いつの間にか入学式は終わっていた。

俺は誰もいないすっからかんの体育館で、ポツンと突き落とされた。

「誰も俺のことを呼びかけてくれなかったのか?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ