幽霊
太陽の光が眩くカーテンの端からこぼれている。
その光を横目に力なくベットに横たわっている。
「ヒカリ!ご飯よ、降りてきなさい!」
下で母親が叫んでいる。
時計を見ると8時を過ぎていた。
気だるげに体を起こしたヒカリは、階段をゆっくり降りて
母親の用意した食事のもとへ向かう。
食事を終え、すぐさま自室へ帰ろうとするヒカリを見て
母親は少し驚いた顔をした。
「もう寝るの?」
「うん、明日友達と約束あるから」
「そう、おやすみなさい」
部屋に戻ったヒカリは、ベッドに潜り目を閉じて眠ろうとする。
「なぁ...」
どこからか声がした。
(まただ。)
最近、部屋でヒカリに話しかけてくる声がする。
いつものごとく無視をしてやり過ごす。しばらくするとこの方法で
声は聞こえなくなるはずだった。
「おい、無視すんなよ。
俺もそれなりに傷つくんだぞ。
聞こえてるんだろう?」
今回はそうはいかないようだった。
ヒカリは薄目を開けて声の主を探すが見つからない。
「今、眼ぇ開けたな
やっぱ聞こえてんじゃねぇか。
..なぁ助けてくれよ、困ってんだ。
日の光は苦手でよ、クローゼットの中だ。
開けるだけでいいから。」
開けるだけでこの声が居なくなるのなら、そう思いヒカリは
ベッドから起き上がりクローゼットを開けた。
そこには、白髪の男がいた。
黒いズボンに大きめの白いシャツを着ているが、
どうにも薄い、向こうが透けて見える。
「ありがとう、ちょっと奥に来てくれ」
男は服をかき分け奥に進んでいく。
(ナル〇アっぽい...)
怪しく思いながらも気になって、ヒカリは男に付いていった。