5話
旅行から帰還、一章終わるまでは隙見て投稿します
馬を充分に休ませた後は【サウザンド】へと出発した。
ユミル帝国、帝都より少し離れた位置にある草原を越えると草原に囲まれた都市が見えてくる。
草原には河馬みたいな草食動物や兎みたいな小さなモンスターが多数生息しているが凶暴な動物やモンスターは少ないらしい。
様々な物が集り易い土地柄か、帝都や他の大都市、更には古代遺跡への道が交差していたりする。
「ステータスは冒険者ギルドで見れるけど、ステータス魔法でも見れるんだよ」
「ステータス魔法?」
「ヒカリ姉ちゃんは、使えないの?」
「わかんないや、やり方わかる?」
「ステータス魔法なら私が使えますよ」
元々モンスターには遭遇しにくい整備された道を進んでいるから怖いのは盗賊くらいなもので、まったりしていた。
ユリィがステータス魔法を使えると言うので、ちょうどいいから魔法講座をしてもらおう。
「ステータス魔法は、分類は生活魔法になりますので魔力があれば誰でも使えますよ」
「そうなんだ………ゼノは使える?」
「ボクも使えないよ」
「一緒に教えてもらおうか………ユリィお願い」
「わかりました………魔法を使うには自分の魔力を意味ある形にして、発動させます」
魔力を感じとるところからなのかな?
「魔力を消費して魔法陣を描き、発動させるってことですか?」
「そうですよ、魔法陣を描く時は一気に描かないといけないから気をつけてね」
「魔力を感じるところから、お願い」
「魔力を感じるには、血液と平行して流れる魔力をイメージしてもらえばわかりやすいですよ」
ユリィの教えに魔力が流れる血管をイメージすると、何となく血液とは別の温かいモノが循環しているのが感じられた。
「補助具として杖があると使い易いですが、ステータス魔法なら杖は要りません」
「魔力を感じとれたかも」
「魔法陣を描く為には魔力を放出しないといけません、足の裏から魔法陣をイメージして描きます」
「足の裏から?」
「魔力は何処からでも放出出来ますが、足の裏から描くのが難易度が低いのです」
「なるほど」
壁に絵を描こうとして、垂れたりするようなものだろう。
「まずは魔力が広がらないように円を描きます、ステータス魔法ならさらに内側に円を描けば完成です」
ユリィの足元から光が出て◎を描くと、ユリィの身体を包むように薄く発光して魔法陣が消えた。
「このようにステータス魔法は難易度が低いのでそこまで大きな円を描く必要はありません、内側から円を描き、逃がさないように、外側の円を描くということも出来ます」
さっそくとばかりにゼノが試して、ステータス魔法が完成。
「ユリアーナ様、出来ました」
「おめでとう、ゼノ」
ゼノに負けてられない、魔力の感覚は掴んだので足の裏から◎をイメージして魔法陣を描く。外側の円、次に内側の円と一気に描くと足元の魔法陣から光が身体全体に拡がっていく。
名前:ヒカリ
LV:160
HP:9999
MP:7000
SP:5000
称号:召喚勇者、魔剣使い、無限成長
スキル:異空庫、全属性使い、限界突破
「おぉ、見れたよ」
「やったねヒカリ」
「ヒカリ姉ちゃん、どんな感じなの?」
見なれない称号とスキルがあるけど、ゲーム内とほぼ同じステータスだった。
ゲームだとSPも無かったから何の値だろうか?
「体力が9999で………」
「「えっ?」」
「んっ?………どうかした?」
ステータスの数値を読み上げていたら、ユリィとゼノが固まっていた。
何かおかしかっただろうか?
「どうかした?じゃないよ………ヒカリ姉ちゃんって普通じゃないよ」
「???」
「あのね、ヒカリ………冒険者で英雄と呼ばれるような人でも1000越えるかどうかなのよ」
自分のステータスを見ると、レベルは3桁だけどステータスは3桁なんてないね。
「へー、SPって何かわかる?」
「ヒカリ姉ちゃんって、凄かったんだね」
「SPはスキルを使ったり、走ったりするのに使う値ね」
スタミナポイントってことか。
「あとは称号に勇者ってあるけど、大丈夫なのかな?」
「ステータスは普通は覗き見ることは出来ないので問題ないですよ、冒険者ギルドでは称号までは見れないですが他の数値が高過ぎますね」
「どうしよっか」
「数値をごまかすしかないですね」
スキルの確認をしよう。
異空庫:異空間の宝物庫を作成。出し入れには魔力必要。内部では時間は流れない。意識ある生物は入れられない。直接触らなくても手の平を向ければ入れるのは可能。手の平を向けた先で出現。
全属性使い:全属性に適正がある。
限界突破:種族制限を無視して成長させることができる。
全属性使いと限界突破は、そのままだけど、異空庫が優秀過ぎる、内部の時間は流れないし、意識がなければ生物も入れられるみたいだ。
試しに異空庫を使ってみたら頭の中にリストが出てきた、ゲームで使っていたアイテムがすでに入ってるみたいだ。
「このアイテムの内容だと、イベント帰りか………」
狩りに行く時に回復系のアイテムは持てるだけ持って行くのに異空庫内の回復アイテムは減っていた。
「どうかしました?」
「んー、ユリィって甘い物スキ?」
「えぇ」
「じゃあ、あげる」
「「ええぇぇぇ」」
異空庫からHP回復アイテムのアップルパイを取り出して、ユリィの前へと置いた。
「これは、アプルですか?」
「うん」
リンゴはアプルって言うのかと思いながらうなずいて、ユリィとゼノに渡す。
取り出したアップルパイは皿にのってあって切れ目も入っていた。
取り出す時に思ったとおりに出てくるみたいだ。
ユリィとゼノが旨そうに食べているのを見ながら、ひときれ食べてみる。
ザクザクと林檎がたくさん入っていて、甘さもあって食べごだえがあった。
元の体だとひときれでお腹がいっぱいになることはなかったけど、ヒカリの体だとお腹がいっぱいになった。