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4話


眠らない都市【サウザンド】、北東諸国の中の都市にしてあらゆる物が集まる欲望の都市。

闘技場やカジノ等、千の遊びを提供し、訪れた人に夢を見させてカネを落とさせる。

一獲千金や名声を求めて集まる人、観光に訪れる人等。

人や物の出入りが激しくて、北東諸国の財源の要にもなっているそうだ。


小国ルメリアの近く、馬車で二日の位置にある【サウザンド】からきたらしい商人さんの名前はエステロ。

エステロ氏は【サウザンド】で店を構える大商会の主らしい、商会の主なのに、部下に任せずに自分で行商するのが好きらしく、根っからの商人みたいだ。


【サウザンド】から延びる整備された道の途中にある池のほとりに腰をおろして、束の間の休息。エステロさんが雇った冒険者らしいパーティーが馬車から馬を外して世話をしている。


「お呼びしてすみませんね、ここまできたら後少しでつくんですが休息をとらせないと馬も持ちませんし」

「いえ、ちょうど良かったですよ」


ユリィと一緒にシートに腰を落とすと草原からやってきた爽やかな風が通り過ぎていく。


「改めて、助けていただいてありがとうございます。ボクはヒカリ」

「私はエステロ、見ての通り商人ですよ………凄い勢いで近づいてきたかと思ったら、目の前で倒れて驚きましたよ」

「無我夢中だったもので、ごめんなさい」


ひととおり馬の世話が終わったのか、護衛らしき冒険者も集まってきた。

ボクが連れてきた子も怪我を治療してもらったおかげかしっかりとした足取りでやってきた。


「助けてくれてありがとうございます、ボクは、ゼノっていいます」

「怪我が治ったみたいで良かったよ、ボクはヒカリ」

「あなただけでも助かって良かったわ」

「ユリアーナ様、両親はやはり………」

「残念ですが、生き残ったのは私達だけのようです」


ゼノ少年の確認の言葉に首を振る、覚えてる範囲で話を聞いたんだけど、幻獣の襲来時に両親が身体を張って守ってくれたおかげでなんとか命を繋ぐ事ができたみたいだ。


「命があっただけ儲けもんだろう、拾った命を大事にしな」

「こんな幼い子達になんてことをいうのよ、もうちょっと言葉を選びなさい」

「ジュノも幻獣に家族を奪われたから他人事と思えないんだろう………悪いやつじゃないから許してやってくれ」


護衛リーダーのフォニクスさん、忠告してくれたジュノさん、ジュノさんを注意したのは女性はクルトリッタさん。

3人は【サウザンド】周辺で活躍するCランクパーティー。

やっぱりあるんだ冒険者ギルド。


「ルメリア国を襲ったと思われる幻獣は【アポカリプス】だと思いますよ………西の【リッタ大森林】へと飛んでいく幻獣を見た人が多いそうです」


ゲーム内でもいた【アポカリプス】というモンスターとは戦った事がある。

同じなら夜空を思わせるような漆黒の鱗を持つ黙示のドラゴンだ。

ゲーム時には龍特効の武器アスカロンでソロでも余裕で倒せたけど、この世界だとどうなんだろうか?


「【リッタ大森林】にすむエルフの方にも協力していただいているのですが、深奥部に関してはエルフの方でも実態を把握できていないみたいです」

「エルフっているんだ………」


ファンタジーの定番だよね、魔法のエキスパート。

やっぱりドワーフとは仲が悪かったり、生物を食べなかったりするんだろうか?


「エルフなら、ヒカリさんはすでに見てますよ」

「えっ!?」

「リッタ氏族のクルトでクルトリッタって名乗ってるわ」


髪に隠れてわからなかったけど、クルトリッタさんがエルフらしい。


「感動してるところ悪いんだが、この後の打ち合わせをしたい」

「あっ、すみません」

「ユリアーナとか言ったか、これからどうするんだ?」

「ルメリア国が滅んだことは伝わっているでしょうが、帝都に行って国皇に知らせなければいけません」


フォニクスさんはユリィがルメリア国の元王女だと知らないようだ。

ユリィは気にした様子もなく、帝都に行くことを告げた。


「帝都か………国皇の体調が優れないと噂があるが」

「ひとまず、【サウザンド】まで一緒に行って、冒険者ギルドから連絡した方がいいですね」

「えぇ」


目の前で倒れたってのもあるけど、ゼノの怪我を見てもらうのに一緒にいたようなものだし、街が近いなら一緒に行った方がいいよね。


休憩を終えたボク達は馬車に乗せてもらうことになった。

怪我が治ったゼノもボク達と同じ馬車に乗り【サウザンド】へと出発した。


「ユリィ様から聞いたんだけど、ヒカリ姉ちゃんって勇者様なんですよね?」

「そうみたいだけど実感ないよ」


ゼノが乗るスペース確保のために荷物運びを手伝ったんだけど、ゼノはその間にユリィにボクの事を聞いたようだ。


「あれ?じゃあヒカリ様って呼んだ方がいいのかな?」

「勘弁してよゼノ、ヒカリでいいから」

「そう?………それでステータスってどうなってるんですか?」

「ステータス?」


ユリィからボクが召喚された勇者だと話を聞いてからゲームの時のメニュー呼び出しを試したが効果はなかった。

TWO時だと利手に武器を装備するから逆手を振り下ろしたり、利手で試したり、「ステータスオープン」と呟いたり、盾職だと両手が塞がるから思考制御でメニューを呼び出したりした。


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