33話
落雷の影響なのかいくつもの小さなクレーター、真っ二つに折れ燃える木など戦いの爪痕を見ながら通り過ぎていく。
戦いながら移動しているようで、爪痕は広範囲に渡っていた。
辺り一面が光に包まれた、近くにまたカミナリが落ちた、戦場となっている場所はすぐそこのようだ。
「カミナリってことはユッカの《身体強化》とは相性が悪いのかな」
「カミナリ属性ってのはないから、魔法で生み出されたカミナリが自然のカミナリと違うなら大丈夫だと思うけど」
ユッカがカミナリの爪痕を見ながら不安気に言う。
ただでさえ威力のありそうなカミナリが何倍にもなって襲うのを想像したようで、一瞬震えると最後の大丈夫はだいぶ弱々しく話した。
「何かあったかなぁ……とりあえずこれ」
《異空庫》からゲーム時代にカミナリ耐性が上がった指輪を取り出すとユッカに放った。
何もないよりかはましだろう、まだ不安なのでユッカにはターゲットにならないようサポートに徹してもらおう。
「クッ、しつこいぞ【ユニコーン】」
誰かがユニコーンに話しかけているのが聞こえた、声の感じからして男かな?
返礼とばかりにカミナリが辺りを白く染めた。
「アレ、見て」
光が収まりかけた時にユッカが何かを発見した。
ユッカが見つけたものは【ユニコーン】と戦っていると思われる人物の影だった。
【ユニコーン】と戦ってる人がカミナリを避け、突進を避けているのだと思われる、木の揺れ方から【ユニコーン】の体当たりを受けたとおぼしき木がゆっくりと倒れていく。
「あれが【ユニコーン】?」
「綺麗」
ついに見つけた【ユニコーン】は聖なる気配を漂わせていた。
堂々とした、威厳のあるたたずまいに額から生える立派な角、背中から尻尾にかけて機械のような鎧をつけ、首の左右に浮かぶ金属球が明滅を繰り返していた。
「あちらにも人がいるではないか、あっちを狙え【ユニコーン】」
「ちょっと!!」
【ユニコーン】が此方を見るが、すぐに男に視線を戻し攻撃を再開した。
「こっちを狙って来ないね」
「それより、あの人をなんとかした方が」
「でも、魔族よ……【ユニコーン】を押しつけられそうになったのに助けるの?」
「助けよう、事情も聞きたいしね」
ユッカが言うには男は魔族らしく、騒がしくしながらも【ユニコーン】の攻撃を捌いていた。
捌くので精一杯で反撃することは出来ないようだ。
そのうち捌ききれなくなって、次はこちらって可能性もあるし、戦力があるうちに協力して逃げることは出来るはずだ。
「【ユニコーン】を押しつけようとしたのは気にいらないけど、協力するよ」
【ユニコーン】の角による攻撃を、魔族の男にレヴァンティンから発生させた火球をぶつけて吹き飛ばすことによって避けさせた。
【ユニコーン】が乱入したボクを見る。
しばらく【ユニコーン】との睨み合いが続いたけど、魔族の男の前にこちらを排除することに決めたようだ。
「気をつけて」
【ユニコーン】の側で浮いていた金属球が青く輝き出したので、みんなに警告をしながら、【ユニコーン】の出方をうかがう。
金属球の輝きが激しくなり、金属球が大きくなったかのように見えた。
よく見ると金属球の中に核のようなゼリー状の物体があり、周りについた金属をパーツごとにパージしたようだ。
薄く糸引くようにゼリーが繋がっているようでパージとは少し異なるのかもしれない。
観察してる間にも核の変化は続いていて剥き出しになった核が力溜めするように強く脈打ち始めていた。
「砲撃が来るぞ!!避けろ」
魔族からの警告がきて、みんなが散開した。
魔族の言う通り、砲撃のような光の奔流がゼノとボクの間を通り、魔族へと向かう。
魔族が横に避けると、魔族に向けて少し砲撃が移動した。
ギリギリで避けると少し追尾出来るようだなと見てると、光が途切れた。
砲撃を終えたからか巻き戻しのように小さく閉じていき、元の金属球へと戻った。
今度は反対側の金属球が輝き始める、先程と違い色は赤だ。
「まずい、阻止しないと」
また、砲撃が来るのかと身構えていたところに魔族が焦ったような声をあげた。
どういうことだろうと、魔族を見ると【ユニコーン】に向けて魔法を撃ち始めた。
魔族の魔法を無効化しているかのように意に介さず、金属球の輝きはましていく。
「なんかヤバそうだね」
ユッカも【ユニコーン】へと魔法を撃ったが効いてないようだ。
金属球が一際輝くと赤い輝きが収まった、いや効果なのか【ユニコーン】の角が紅い稲妻を纏ったかのように時折パリパリと音をたてていた。
【ユニコーン】が周りを見回して、標的をボクに決めたようだ。
【ユニコーン】の姿がブレたかと思うと次の瞬間には目の前にいた!?
「っ!?……アッ!!」
「「「えっ!?」」」
【ユニコーン】の角による振り上げ攻撃に合わせてとっさにレヴァンティンを重ねて、【ユニコーン】の角を切り飛ばした。
まさかの展開にみんなが唖然としてるなか、宙を舞う角が地面に刺さり、【ユニコーン】が力なく倒れて動かなくなった。




