31話
ゴールデンウィークお疲れ様でした。仕事でボロボロでした
ユリィとボクの洗礼は滞りなく済んだ。
ボク達と話していた女性がユミル教の最高司祭だったのには驚きだった、彼女があっという間に済ませてしまった。
洗礼は簡単に済んだのだが、【宣誓】の方はちゃんと印しておかねばならず、準備に奔走してまたたく間に一月が経った。
この世界は一月40日あり、上と下の二月で季節が変わるようだ。
季節は各属性だけあり、光と闇の月はセットで一月、正月日に当たるのが無属性の月である無月で合わせて360日で1年となる。
ボクが召喚された日が上樹月の末日らしく、翌月の下樹月には帝都に来たのに、【宣誓】関係で上水月は奔走。
落ちついて、下水月に入ったところで皇帝の具合がそろそろやばいらしい、医者によるともう持たせられないらしかった。
ユリィをリリアンヌ皇女のもとに送り届け、ユリィと別れサウザンドに帰ってきた時には皇帝アキレスの崩御が発表されていた。
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「いらっしゃい~、うちには良い娘が揃ってるよ♪」
「そっちの店よりうちにしなよ、今ならくじ引きイベントやってるよ。ヒモを引いた先にいる娘にお触りし放題だよ」
「お腹空いてないかい?大食い料理に挑戦して完食出来たら金貨5枚、参加は銀貨5枚だよ」
相変わらずの呼び込みをスルーしながらサウザンドの目抜通りを歩いていく。
「まずは服をなんとかしないとね」
ユリィに買ってもらった服、主にフリルがついたり、ヒラヒラ 系の服はユリィとともにリリアンヌ皇女のもとへと置いて来た。
《異空庫》の中にいれっぱなしでも問題は無かったんだけど、自分からは進んで着ようと思わない服を持っていてもね。
「おっと、ここは通さないぜ」
「コウメイ?」
ユッカとともに大通りにある服屋に突撃して、さっさと買い物を済ませてしまおうとしたところで、立ち塞がった人物がいた。
別れたきりになっていたコウメイが地元であるサウザンドにいるのは当然で、なぜ服屋の突撃を阻止するのかわからず、ユッカを見るも、ユッカもこっちを見ていて、お互い理由がわからないらしい。
「お久しぶりです、コウメイさん」
「おう、しばらく見ない間にでかくなったなゼノ」
ボクより小さかったはずのゼノは、この1月の間に急激に身長が伸びて、ボクを越していた。
どうやらレベルによる補正のようなものがあるらしいが、それならなぜボクに適用されないかは謎である。
ゲーム設定だから適用範囲外なのだろうか?
「それで、なんで邪魔するのさ」
「ヒカリ、今そこの店に入ろうとしたろ?」
「うん、替えの服を買いたいし」
「なら大通りで買うのはダメだ、付いてきな」
さっさと歩いていくコウメイの後をみんなしてついていくと、ユリィと行ったことのある店に着いた。
「この店、前にも来たことあるよ」
「サウザンドで服って言ったら、ここが一番なんだ……他はランクが落ちる」
「着れればいいから、態々こんなところに来なくても」
店の人に聞かれたら失礼かも知れないが、大通りで買っても良かったはずだ。
「大通りの店は観光客用の店で大半はボッタクリ店なんだよ」
伊達にサウザンドの案内業務についてるわけではないようで、コウメイの説明に納得した。
「『試着したら購入しないと行けない』、『入店は無料だけど、出るのは有料』、『眺めたら見物料が発生』とか店があるって酷くない?」
「でも、書いてあるからな」
店先に一応わかりにくくだけど説明文はあるらしく、見落としたのが悪いってことらしい。
「だから、大通りの店舗は毎月争奪戦が激しくて、出店権利が当たった店舗の呼び込みにも力が入るし、活気があるように見えるだろう?」
「そうかも知れないけど……」
「そういう裏事情があるから、良い店はこういうひっそりとしたところにあるんだ」
「ちょっ、待って」
説明を終えたコウメイが店員を呼びに行ってしまい、やって来た店員と店内にいた客によってボクとゼノは再び着せ替え人形と化すのが確定した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「こちらにヒカリ殿はいらっしゃいますか?」
着せ替え人形と化した翌日、ユッカが適当な依頼を探しにいってるのを宿でのんびりとゼノの訓練しながら待ってる時に声が聞こえてきた。
「ヒカリさん、お客さんですよ」
「いま良いとこなんで、待ってもらうか、こっちに回ってもらってください」
宿の人に返事する間もゼノから視線は外せない、失礼だとは思ったけど訓練優先だ。
隙らしい隙は見せなかったから突っ込んで来なかったのか、たんに会話が終わるまで待っていたのかはわからないが宿の人が来客に返答しに行くのにあわせて突撃してきた。
すっかりモノにしたブーストによる突撃に合わせて置くように軽く剣を振る。
加速にふられることなくしっかり、かわしたゼノに満足しながら剣を引く。
突撃のスピードより引くスピードの方が早く戻しながら軌道上に再び剣を置く。
「チィッ」
今度は避けきれなかったのか浅く肌を傷つけながらも少し速度差をつけたらしく急激に速くなったゼノが肉薄する。
罠にまんまとかかったゼノの目の前に剣を突きつけ訓練を終えた。
「また、勝てなかった」
「惜しかったね、いつやられるかヒヤヒヤなんだけどね」
「次こそは、一本取りたいよ」
宿の裏庭から出ようとしたら、いつの間にか回って来ていた兵士の格好をしてる人が驚きのためかフリーズしてる姿が目に入った。




