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3話


どこにでもいる普通の高校生、神裂光(カンザキヒカル)巨人の世界(T・W・O)のアバターであるヒカリとして異世界に召喚された………って、どこのラノベだよっ!!


ボクを異世界に召喚した、ユリアーナ=ルメリアを見てボクはため息をついた。


「ヒカリとしてきたのが、まだ救いなのか………」

「………?」


ボクのつぶやきに、どうかしたの?って首を傾げるユリィに、なんでもないと頭を振り炎の魔剣レヴァンティンを拾い上げる。

炎の魔剣レヴァンティンはゲーム内ランキングでもらったイベント武器で、扱うには両手剣スキルと高い筋力ステータスを要求した。

その分性能は魔剣の中でも上位に位置し、魔力を使って形状を変えることができた。


「持つことは出来るか」


幻獣から逃げる時も背負ってたから大丈夫だとは思ったが、確認しておかないとね。

本番で使えませんじゃ、目も当てられない。


「それで、ユリィの国はなくなってしまったわけだけど………ボクは何をすればいいのさ?、もとの世界には帰れるの?」


「ヒカリ様には、勇者として幻獣を倒していただきたいのです………伝承には、何体か幻獣を倒すと帰れるようになるはずです」


「はずってのは?」


「近年では、もとの世界に帰った勇者がいないので、正確にはわからないのです」


ユリィは申し訳ないような顔をしていた。

そんな顔をするなら召喚しなければいいのにと思わないでもないが、話を聞く限りだと幻獣は災害扱いで人には手が出せないらしい。


そこに居合わせた不幸を呪い、一矢報いるのに勇者の力を使いたくなるのはわからなくはないが、巻き込まれた方はたまったもんじゃない。


「幻獣を倒していけばいいわけね?」


「術式の中に帰還の部分が盛り込んであるとか、召喚した時に倒すべき幻獣に印が刻まれて、印を刻まれた幻獣を倒す………っと解釈する学者もおります」


「学者ねぇ………」


ヴァーミリオンとかいう幻獣は、【異世界召喚】の魔方陣を広まってはいけないから消すとか言ってたね。

あの時は、なんとなくだけど言葉がわかった。

すごい魔力を感じたから慌てて距離をとったわけだけど、魔方陣を調べればわかるんだろうか?


「あの、ヒカリ様?」

「そうだ、そのヒカリ様ってのやめない?」

「えっ!?でも………」

「ボクが嫌なんだ、ヒカリで良いよ………ボクもユリィって呼んでるし………嫌ならユリアーナと呼ぶしかなくなるんだけどなぁ」

「………わかりました、ヒカリ」


勇者として召喚されたかもしれないけど、ユリィのことだけは全力で護ろう。

国を失って帰る場所の無くなったユリィは無理して明るくふるまっているのがみていてわかった。


「えっ!?あの」


気づいたら、ボクはユリィを抱きしめていた。

本来の姿だったら問題だろうけど、今はヒカリだからいいよね。

………ユリィは柔らかいな。


「ボクがユリィを守るよ、だから悲しまないで………お姉ちゃんだと思って甘えていいんだからね」

「えっ!?………その私はもう、12才になるんですけど」

「ボクは16才だから、やっぱりお姉ちゃんじゃない」

「ええぇぇぇ!?」


しばらく、ユリィの感触を楽しんでから告げると大変驚かれた。

8才くらい、どう頑張っても10才くらいにしか見えないらしい………失礼な。


ユリィから聞いたことをまとめると、【異世界召喚】でこの世界に来たボクは、幻獣という脅威と戦わないといけない。

戦ってればそのうち帰れるかもしれない。


【異世界召喚】は王家の秘技らしく、使えるのは限られるそうだ………ユリィも教えられたばかりらしい。

逃げきれないという状況を脱する為とはいえ、肉親に教えられた術で肉親を犠牲にして召喚されたのがボクだ。


召喚されたボクがこの世界の言語を理解しているのは、召喚に使われた魂の情報を受け取っているらしい………口の形と聞こえて来る音にズレがあったと思ったけど、日本語ではなく異世界の言語が日本語として聞こえていたようだ。


「あの、何かありましたか?」

「なんでもないですよ」

「そうですか………お連れの方が目を覚ました」


知らせにきた時にユリィの叫びを聞いたってことね。


「連れ?」

「ヒカリが抱えてきた子だよ」

「あぁ………そういえば、怪我が酷かった子を運んだような気がするね」


無我夢中だったから、どんな子だったかはよく覚えていない。


「それで、そろそろ休憩するのでお客人達が起きているか見にきたんだ。雇い主が呼んでるけど、どうする?」

「大丈夫ですよ」

「じゃあ、伝えてくるよ」


助けてもらったお礼もしないといけないしね。

知らせにきた人は報告に戻って行った。


「ところでユリィ、ボクってどういう扱いになるのかな?」

「えっと、召喚されたとか異世界人というのは隠していただけると」


ユリィは、ボクの言いたいことを察して教えてくれた。ボロを出さないように気をつけないとね。


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