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聖夜SS

メリークリスマス



ユミル帝国の西部に位置する、魔法都市【アカデミー】。

【アカデミー】はアルカディア王国が誇る魔導士隊の育成機関も兼ねていて、魔法学園【ルブルンド】では学園生達が魔導士隊入りを目指して魔法や魔獣について研究していた。


ユミル帝国の騎士養成学校【リンドブルム】とアルカディア王国の魔法学園【ルブルンド】とで交流もあった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


年末の【ルブルンド】某所


「この魔法陣なんですけど、この効果ならここの線はいらないんじゃないですか?」

「この線は位置を決める線だから重要なのよ」

「なるほど、じゃあ……ここをこうして、こうすると」

「うまく繋がってますわね、あのルイズが勉強を教えてくれって言ってきた時は驚いたけど……」

「ティーちゃんありがとー」

「ティーちゃん言わないで、先生にも威厳ってものがあってですね……」

「またねー」

「って早、話を聞いて!!」


凄い勢いで走り去るルイズの背中にティーちゃんことティーチェルの声が虚しく響いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


別の日


「ティーチェル先生から話を聞いてまさかと思いましたが、本当にルイズが勉強をしてるとは……」

「……ん、マリナ先生?次は?」

「ハッ!?……えっと反対側の制御が甘いですね、ちゃんとイメージして」

「こっちから見るとこうだから、ここは陰になっていて……」


一生懸命に魔法の勉強をするルイズに、指導していくマリナ先生。


「できた!!」

「どっからみてもおかしいところはないですね」


ルイズがマリナ先生と魔法の勉強をはじめてから数時間後、ルイズの魔法が完璧に発動した。


「ありがとうございました」

「あなたは、やれば出来るんですから普段からこうだと助かるんですけどね」

「あはははっ……失礼します」


変な方向に話が行く前に逃げるように帰るルイズ。


「でも、なんでこんな魔法を勉強していたのかしらね?綺麗だからいいけど……校内を見回ってわたしも帰りましょう」


ルイズが勉強していた魔法に少し疑問を抱くも、この時期のイベントと縁のない生活を送っていたマリナ先生は些細なことと流してしまった。

ここでマリナ先生が気づけばこの後の事件は起こらなかったかもしれない……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「よぅ、セーラ。久しぶりだな」

「えぇ、久しぶりねリング」

「今年も世話になるぜ」

「こっちこそ頼りにしてるわ」


【リンドブルム】と【ルブルンド】の年末合同イベント調査隊。

調査隊イベント、元々は試験を兼ねており、遠征の経験を積む絶好の機会である。

参加は自由だが留年がかかっていたり問題児なんかは強制参加となっている。


ここでの成績が将来に大きな影響を与えるイベントだったのだが、異性と近づくチャンスとしてだいたいの生徒は参加していたりして、いつのまにかお祭り的な伝統行事と化していた。


「変な噂を聞いたんだが、アイツが勉強してるって本当か?」

「なにそれ?」


【リンドブルム】生徒のリング、【ルブルンド】生徒のセーラ、そしてルイズは所謂幼なじみというやつだった。

ルイズの勉強嫌いは有名で、今年も留年がかかっているのでイベントの参加が決定していた。

しかも今年は聖夜祭の日が調査隊の日だったので、発表された時の悲鳴はそうとうのものだった。


「あり得ないわね、ルイズが勉強な……んて……!?」

「なにかの間違いだ……よな……!?」


セーラが否定の言葉を出すも途中で言葉が止まり一点を見つめたまま固まった。

セーラの視線を追いかけていたリングも止まる。


「えっと、こことここは終わったでしょ……残ってるのは後3つかぁ」


セーラとリングの視線の先にいたのはルイズだった。

今回の調査隊の開催場所【奈落渓谷】についての資料を読みながら、呟きながら歩いていた。


「……」

「……」


咄嗟に隠れたリングとセーラに気づくことなく、ルイズは読み歩きながら通りすぎていった。


「……嘘」

「アイツが予習だと」


ルイズが歩き去った方を信じられないものを見たと愕然としながらリングとセーラはしばらくながめていた。


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