15話
ヒカリ→ゼノ→ヒカリ→ゼノ→ヒカリと視点変更します
「待って、ヒカリちゃん………1人で行く気?」
「ユリィがいるかもしれない、早く助けないと」
「でも………」
「ユッカはゼノとともにいてよ」
こっそりと抜け出したボクに気づいたユッカにゼノを任してアポカリプスのもとへと向かおう。
ルーリク、シルニス側の森、そしてついにシルニスへと、まるでボクの後を追うかのように現れたアポカリプスを放ってはおけない。
「ホークさん、ギルドマスターなんでしょ。呆けてないで指示出して」
「あぁ、すまない………俺のことはアイルスと呼んでくれ」
ついでに固まっていたギルマスに活を飛ばす。
我にかえったアイルスは一般市民の誘導を高ランクの冒険者に依頼という形をとって発注したり指示を出す。
「本当ならヒカリさんにも誘導に回って欲しいんだがな………正直、高ランクの冒険者が足りない」
「ユリィもアポカリプスに捕まったままかも知れないし、ボクがアポカリプスを止めるよ。」
「俺も出ると言いたいところだが、足手まといだろうからやめておこう。なるべく時間稼いで欲しいが、無理だけはするなよ」
「わかった………でも倒しちゃってもいいんでしょ?」
「幻獣を倒せるのなんて勇者くらいなもんだ」
アイルスと話ながら準備を済ませたボク達はギルドを一斉に出た、それぞれが今出来ることをしようと駆けて行く。
ボクの相手は漆黒の幻獣アポカリプスだ。
ユッカ達とは反対方向、煙の上がる方へと急いだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ヒカリ姉ちゃんがアポカリプスと対峙してる間に避難誘導をするのがユッカ姉達の仕事になった。
ボクもユッカ姉と一緒に避難する。
遠方に視線を投げ掛けると、家々が紅く燃えている。
あの日、自身に起こった惨劇が胸中を駆け巡る。
気がつくと手のひらに血が滲むほど拳を握りしめていた。
ボクはまた、何も出来ないのか?
ヒカリ姉ちゃんに剣を教えてもらい少しは戦えるようにはなったけど、幻獣の相手が出来ないのはわかる。
それでも、あの日より少し、ほんの少しでも出来ることは増えたはずだ。
ヒカリ姉ちゃんの無事を祈りながら、淡く光る魔剣達を握りしめた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ユッカ達と別れ煙の上がる方へと駆けた、たどり着いた先に広がっていたのは、目も眩むような惨状だ。
肉が焼ける臭いが充満している。ただし、焼けているのは人の肉だね。
冒険者なのか、逃げ遅れた一般人なのか?しかし、もはやそれを見極める術は失われてしまっている。
再び轟音が響く。
あっちの方はユッカ達が向かった方!?そして轟音の主が降り立つのが見えた。
心臓が耳元にあるかのように自らの鼓動が響くのを感じる。
ユッカ達のもとへと急がないと。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
凄まじい咆哮とともに辺りが夜に包まれたかのように暗くなった。
「えっ!?、な、なんで………」
「どうしたの、ユッカ姉?」
暗くなった原因を見つけたのだろう、ユッカ姉が固まる。
微かに震えてるユッカ姉の視線を辿れば、夜の中に輝く光が見えた。
その光は次第に大きくなっていく。よく見れば光の周りに遠目には細く長い赤いモノと銀色に輝く鋭いモノが!?
ユッカ姉が固まった理由が漸くわかった、あれはアポカリプスのっ!!
闇を切り裂くような咆哮とともに光があふれ、辺りが白くそまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
轟音の主、アポカリプスの元へと急ぐ。途中で短縮のために屋根へと飛び移り、屋根の上を全力で移動する。
「ユッカー、ゼノー」
ユッカとゼノを視界にとらえた、二人はまだ無事だった。
アポカリプスが咆哮をあげ、ブレスの発射体勢に入ったのか大きく開いた口に光が収束していく。
「させるかぁあああぁぁぁ」
屋根から飛び上がった勢いを利用してアンカーバスターを《異空庫》から取り出すとアポカリプスへと全力で投げた。
そのままユッカ達のそばに着地する、都合のいいことにユッカは意識がないようだったから《異空庫》に収納した。
アポカリプスに放ったアンカーバスターがわずかにブレスの軌道を逸らした。
ボクがゼノを抱くようにして飛びこんだ横をブレスが通り過ぎていく。
アポカリプスのブレスの通り道にあった建物は消し飛び、何かに引火したのか爆発したり、火の手があがっていた。
人の気配がしないのは逃げた後だからか、巻き込まれたのかはここからじゃわからないが、今のブレスで少なくともシルニスの半分は焼失した。
「これが、幻獣アポカリプスか……ゼノ、ボクから離れないでね」
「ヒカリ姉……」
ボクの声にわずかにゼノが反応する。
(ソコノニンゲン、アノムスメトオナジケハイ、カンケイシャカ?)
アポカリプスの双眸がボクを捉えている。
今の声はアポカリプスなのかな?ゼノの様子は少し落ち着いたように見えるけどアポカリプスの声に反応した様子はないし、聞こえたのはボクだけのようだ。




