14話
マッドグリズリーを討伐してユリィ達の元に戻ろうとしたが、ユリィ達はアポカリプスに襲われたらしい。
ボロボロになったユッカの話では、何故かユリィが連れてかれたみたいだ。
意識のないコウメイ達を《異空庫》へと回収してシルニスへと駆けた。
シルニスではルーリクが壊滅したとの報告で慌てているところだった。
宿の場所を聞いて、コウメイ達を宿に預けてこれからのことを話あおう。
「とりあえずギルドに行こうと思うけど、どうする?」
「ヒカリ姉ちゃん、ボクも行くよ」
「私も行くわ」
ユッカは残るって言いそうだったけど、コウメイを見て迷いを振りきるようについて来ると言った。
宿の人にコウメイ達の世話を頼んでギルドへと向かう。
シルニスの冒険者ギルドは一階が酒場で二階が受付と他とは変わった作りになっている。
「ここは冒険者ギルドだぞ、嬢ちゃん達にはまだ早ぇな」
「ユッカ任せた」
テンプレのような絡み方だが、急いでいるのでかまってられない。
つまみ出そうとする男の手を避け、スレ違い様に腕をとって投げた。
腰の辺りに手を添え、縦に一回転させるとユッカの前に落ちるように調整した。
最後に勢いを殺して静かに着地させてあげた。
何が起こったかわからない男はユッカに任せて邪魔者がいなくなった階段を二階へとあがる。
「マッシュが1回転しなかったか?」、「嘘だろう」、「ほぅ、やるなぁ」
階下からは、離れた位置から見ていた者達の声が聞こえる。
ユッカの前に放った男、マッシュと呼ばれた男とのやりとりを遠巻きに見ていた人達が騒いでいた。
「ここが受付ですか?」
「そうだよ、何のようだい?」
「討伐依頼を受けてまして………」
見た目だけで判断しないでちゃんと対応してくれた、こうでなくちゃね。
担当の鷲顔の人(?)にマッドグリズリー討伐の報告をしてギルドカードを提出、ついでにアポカリプスの情報がないか聞いてみよう。
「あの、ここにヒカリ様って方が来てませんか?」
「ヒカリはボクだけど………誰?」
「お連れの方が目を覚まして、コレを届けるようにと」
鷲顔さんからアポカリプスの情報を聞こうとしたところで、ギルドに宿屋からおつかいの子供がコウメイから何か預かって来たようだ。
「あのガキ、あんなところにいやがった」
「マッシュさがれ」
マッシュにボクの場所がバレてこっちに来ようとしたところを鷲顔さんがマッシュにさがるようにいい、宿のつかいからコウメイから渡されたという手紙類を受け取った。
手紙はサウザンドのギルドマスターからの紹介状のようだ、鷲顔さんは手紙を読むと、ついて来るように言って席を立った。
「ユッカ、ゼノ行くよ」
「はい」
「ヒカリちゃん、ひどいよ」
「ごめん、ごめん、後で美味しいものあげるから」
マッシュの相手をしたからか、泣きそうな顔のユッカを呼んで鷲顔さんについて行く。
鷲顔さんの後ろをくっついて行くとギルドマスターの部屋だった。
鷲顔さんはノックもせずにギルドマスターの部屋へと入り、ボク達を招き入れた。
「汚いところだが適当に座ってくれ、すぐに飲み物でも用意させよう」
自分の部屋にいるような様子から、鷲顔さんがギルドマスターだったのだろう。
鷲顔さんはテーブルの上の鈴を鳴らすと飲み物4つと呟いた。
「さて、ヒカリだったかな?……俺はシルニスでギルドマスターをやっているホーク・アイルス。見ての通り鷲人族だ」
「ヒカリです」
「マッドグリズリー討伐をしたということだが、詳しく聞きたい」
「いいですよ」
マッドグリズリーとの戦闘の様子を話した。
話してる最中に麦茶のような色をした飲み物が運ばれてきた。
いい香りと少し酸味がある飲みやすいジュースで喉を潤しながら、アポカリプスに襲われてユリィが連れていかれた状況まで話した。
「Fランクの赤がBランクモンスターをソロで討伐、しかもだいぶ余裕があった様子……青にしてやりたいが、私の一存では無理だし間違いなくよからぬ奴らがちょっかいを出してくるだろう」
「うへぇ、そういうのは勘弁してよ」
「マッドグリズリーの件もあるし最低でも黄、出来れば緑にはしといた方がいいだろう……そこで、ここの埃をかぶった案件も片付けて欲しい」
「別にいいけど、まずはユリィを助けないと」
「そうだな……アポカリプスは長い休眠と活動を繰り返しているらしい。資料によると休眠期はそろそろあけて活動期に入ってもおかしくないとのことだ、──」
アポカリプスは休眠期明けが一番狂暴らしいことまでは判っているが人を拐うなんて事例ははじめてらしい。
最後に確認されたのがリッタ大森林らしいので、リッタ大森林に巣を作ったのではないかというのが、魔法都市アカデミーにある【幻獣院】の調査結果だ。
「とりあえずリッタ大森林に行ってみるよ」
「アポカリプスに挑む気か?」
「ユリィを助けて逃げればいいだけでしょ………相手が空を飛んでようが逃げるのは得意なんだ」
逃げるのが無理なら倒すだけだし、最初から倒すって言うより、こう言っておけば、止められたりしないだろう。
「そうか、なら『大変です』」
血相を変えて冒険者らしき男性がノックとともに部屋に入ってきた。
「何事だ」
「ア、アポカリプスが現れました」
ちょうどいいや、さっさと倒してユリィを助けよう。
ボクは静かに立ち上がると、装備を確認しながらギルドマスターの部屋をあとにした。




