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プロローグ

ストック放出、サブタイトルは追々考えます。


とりあえず話数でいくので、いいの思いついたら後で変更します。


『幻獣』──それは、古より人々に天災と恐れられてきた強大な獣。


爪を振るわれれば、どんなに強固な防壁も紙のように切り裂かれる。


運悪く遭遇した者達は絶望し、早くすぎさるのを祈るくらいしか出来ない。


ある時『幻獣』に対抗するために、術式が開発された。


【異世界召喚】、異世界から『幻獣』に対抗できる勇者を喚びよせる術式。


原始の巨神(ユミル)がこの世界に来た時に開いた扉を利用する術式は、扉への干渉、解放、魂の取り寄せに、10人の生贄を必要とした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「………ここは?」


静かに風が頬を撫でて行く感覚に少女は意識を取り戻した、傍らには物言わぬ骸が転がっている。

ほんの少し前までの喧騒が夢であったかのように、周囲には自分達以外に動く者はいない。

この国の名物であった白い城も、大通りの広場にある鐘もわずかに面影を残すばかり。

突如現れた天駆ける幻獣が、破壊の限りを尽くしたからだ。



「幻獣は………?」


混乱した記憶を整理しつつ惨状の中、まだ痛む体を引摺りながら歩いて行く。


「アルフ!?………大丈夫?」


瓦礫の下敷きに見知った顔を見つけてかけよるが、血が失われているからかアルフの顔はすごく青白い。


「その声は、ユリィ様ですか?」

「えぇ、そうよ」

「私はもう長くありません、私などに構わずお逃げください」


アルフはすでに目が見えてないようで、ユリィに逃げるように告げる。


「そんな………回復できる人探して連れて来るから、少し待っていて」


城の救護所があった場所は瓦礫の山と化しているので、急いで教会へと向かうユリィ。


「誰か、力を貸して!!、瓦礫の下敷きになって大変なの」

「ユリィ様、ここはあぶのうございます」

「お願い、はやくしないと………」

「残念ですが」


ユリィの叫びに応じたくとも、教会でも高位の回復魔法を使える神官や神父が亡くなり、薬草でわずかばかりの延命を施すくらいしか出来ない状況だった。


「大変だ、もう一体『幻獣』が来るぞ」


ユリィがアルフのもとに戻るか逡巡していると、空を見ていた兵士がこちらに向かって来る『幻獣』を見つけて悲鳴を上げた。


「………そんな」


動ける者は我先にと逃げ出して、動けない重症患者だけが残された。


「お父様!?」

「ユ………リィ………か」


動けない重症患者の中に父の姿を見つけたユリィは側によっていく。

ユリィの父には腹に穴があいており、瓦礫に押し潰されたのか足が変な方向にまがっていた。


「く、来るな………ぎゃああぁぁぁ」


見捨てて逃げ出した兵士の悲鳴が響く、『幻獣』に見つかったようだ。


「ここに、来るのも………時間の、問題か………人数は足りて………るな」


治療する手段が無くなったため、終わりを待つばかりとなった辺りを見回した。


「聞いてくれ………、この国を守るため………『幻獣』に対抗する………ために、おまえたちの命を………捧げて欲しい」

「お父様、何を言って………?」


「このまま、終わるくらいなら、命をくれてやる」

「「「俺も」」」


突然の言葉に、重症で動けない者達が賛同する、腕を上げる者、腕が無い者は足を、腕も足もない者は視線で、ほぼ全員が参加の意を示した。


「ユリィ………頼む」


魔法陣が展開し、放たれた光がユリィへと注ぎ込んでおさまった。


「これは?」

「【異世界召喚】………我らの命を使って………する、最後の手段………王家に伝わる───」

「わかりました」


説明を聞き、意を決して地面を揺らす音がゆっくりと近づいて来る中、【異世界召喚】の術に取りかかるユリィ。

巨大な魔法陣が広がって使用する魂に、立候補した重症者を選んでいく。


「お父様、魂が………足りません」

「最後の魂は………私の魂を使いなさい」


この場に残されたのは12(・・)人、意識がなく反応しなかった幼子、賛同者9人と国王、ユリィ。

ユリィが幼子の魂を勝手に使わないのも、父である国王の魂を使うのに躊躇うのも解っていたようだった。

諭すような父の言葉に反論の言葉を呑みこみ、最後の魂を決定する。


完成した【異世界召喚】が起動、眩い光が天へと昇り異世界への歪みが現れ、重症患者達の身体が崩れていく。

歪みから光が降りてくる、魔法陣中央に降りたって、出現した歪みが消えると国王含めた残りの器が崩れる。

光にマナが流れ込み、人の形を取っていく、目を開けていられないほどの耀きが収まると、身の丈を超える大剣を背負った幼女が現れた。



ユミル暦2018年、上樹月40日

ユミルニア大陸の小国ルメリアは『幻獣』により滅んだ。

生き残ったのはわずか3人だった。

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