8話
翌日、僕は学校で古川さんに特別席のチケットを渡した。
「こ、これぇ...!Yuuuのっ...!!」
「うん、それでライブ終わりにYuuuがあってくれるそうだから...。」
「ほ、ほんとにっ⁉︎もう今日から寝れないよ...!!」
まだ1ヶ月以上あるんだから寝てくれ。
それじゃあ、と席に戻りぼっちの秘密兵器寝たふりを再開する。すると、ワラワラと相川莉奈 大沢里美 山崎加奈の3人が古川さんの元に集まる。
「ねぇねぇ、みっちん。陰キャ君に何貰ったの?」
「大丈夫?変な液体とか付けられてない?笑」
山崎、おまぶち殺すぞ。
「ううん、そんなこと絶対ないよ、だって凄い物貰ったの。」
おい、まて、言うなよ⁉︎
「え、何?」
「じゃ〜〜ん!Yuuuのライブチケット!」
クラスの空気が変わった。
「え、え、え...と、特別席じゃん...!」
「うん!夢見たい...!」
「と、特別席って、非売品だよね...?」
「そうなの!だから嬉しくて...。」
え⁉︎そうなの⁉︎非売品なの⁉︎
「そ、それを陰キャが...?」
「あー、うん、そう...。」
何、古川さん今更気づいててへぺろみたいな顔してるの⁉︎
遅いんですけどぉ⁉︎
「ねぇ、なんだっけ名前。」
いつの間にか僕の席の前に相川莉奈が立っていた。なんだなんだ?カツをアゲアゲしちゃうのか?
「...美原ですけど。」
「美原ね、美原...」
相川は大きく息を吸い込み
「 ウチにもYuuuの特別席のチケット頂戴よ !!! 」
と叫んだ。
「無理だよ⁉︎その1枚しか無いし!」
無論嘘だ。家族4人分はいつも来る。
しかし、ここであるとは言えない...。
「じ、じゃあ!どうして1枚は手に入れたの⁉︎って次はウチに頂戴よ!!!」
なんだこいつがめついし、腹立つな。
僕がそう思うと相川はスマホを取り出し見せてきた。
「これ見てよ!うちのツイッターアカウント!」
そこには、
Rina♫Yuuu命@YuuuLove
フォロー数3580 フォロワー989,871
Yuuuファンクラブ会員No.10
Yuuuは命、Yuuuは絶対
Yuuuの情報追っていくツイートするよ♫フォローよろしく!
つぶやいったーのアカウントが表示されていた。
こいつすげえ僕のファンじゃん!
古川さん以上の強敵かもしれない。
「こんなにウチはYuuuが好きなの!だからっ!」
「そう言われても無理だよ。今回手に入ったのだって偶然Yuuuのマネージャーさんらしい人を手助けしてお礼で貰ったんだから...。」
「マネージャーさんの連絡先とか聞いたりしてないの?!」
「してないよ。」
金をせびる電話しかこないから、仕事がなければ登録なんてゴメンだ。
「なんでしてないのっ!使えないっ!」
使えない...?
僕の名前すら覚えてない、ディスりばっかのクソクラスメイトのために役に立てだと...?
「僕の名前すら知らなかったのに、君のために何かしなきゃいけないの?」
僕がそういうと相川はキッと睨みつけてきた後、教室から出ていった。
古川さんはてへぺろの顔のままだった。
モチベがありません。
餅のイベントではありません。