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4話

 視聴覚室は地獄と化していた。

 それもそうだ。40人の人間が音楽に合わせ踊ったり、叫んだりしているからだ。

 僕は今までに何十回とライブをしているがここまでファンとの距離が近いライブは初めてだ。即刻中止にして欲しい。

 今だけはオタクもギャルもイケメンも腐女子も関係なく肩を組んだりしている。


「おい、陰キャ!なにうつむいてんだよ!せっかくなんだからお前もノれよ!」


 いきなり茶髪のチャラいやつが肩を組んできた。

 仕方なく僕も肩を組み返してリズムに乗って跳ねたりしていると古川さんと目があった。

 彼女はオタ芸と止めニコりと僕に笑うと先生に合わせオタ芸を再開しだした。





 クラスみんなで教室に帰ると、教頭、学年主任、他教科の担当がいた。


「荒木先生...クラスメイトを連れて、他クラスの授業をサボり、どこでなにをしていたのですか...?」


 カツラ疑惑のある教頭がプルプルと身体と髪の毛を揺らし荒木先生に詰め寄る。


「えっと...ライブ?」




 教頭の怒号とともにこの学校に伝説ができた瞬間だった。


 僕らもお咎めなしとは行かず、残りの授業を受け、放課後に反省文10枚ずつという重労働を行うことになった。レッスンの日だから良かったが仕事だったら逃げてたなと思いつつ反省文を書き進める。

 書き終えて教卓の上に置いて教室を出た。

 放課後に残ってるのは部活動の生徒かうちのクラスだけなので昇降口は静寂に包まれていた。

 自分の下駄箱の前に行くと古川さんがいた。


「美原くん、少しお話があるから駅まで歩きながら話さない?」


 僕は黙って頷いた。

 校門から出たあたりで彼女は口を開いた。


「美原くん、今日は無理させちゃってごめんね。」


「べ、別に無理してない...」


「美原くんは朝逃げ出そうとしたでしょ?なのに引き止めちゃって。」


「そ、んなこと...」


 ない、とは言えなかった。逃げたかったから。


「一度だけ見たんだけど美原くんってすごく綺麗な顔してるでしょ?なのに、みんなはそれ知らないであまり顔を見ず、中身を決めつけて話してるから、こういう時に打ち解けられたらなって思ったから絶対誘いたかったの。」


「ぼ、僕の顔⁉︎い、いつ見たの!」


 古川さんはYuuuの大ファンだ。バレてしまうかもしれない。


「前に近くで野良猫抱っこしてた時、風で前髪がふわりと、ね?」



「そ、そうだったんだ。」

 

「うん、その時見た笑顔がとても素敵で、見る人を幸せにふるような笑顔で忘れられなくて。」


「あ、ありがとう。」


 凄く顔が熱い。今まで可愛いや、もっと熱い言葉で口説かれたこともあるのにこれだけの言葉でドキドキしてしまう。


「その時の笑顔で私は気づいたの。美原くんはクラスに関わるのが嫌なんじゃなくて、Yuuu(の親戚)と思われるのが嫌なんだって。」


 思いきりっバレてた。否定するか?どうする⁉︎


「だから、Yuuuの歌も聞くのも少し違和感出ちゃうのもわかるんだ。」


 どうしよかと僕がグルグル頭を回しているとそんな僕を見かねて彼女は笑って言った。


「大丈夫!(親戚だってことは)絶対に秘密にしておくから。」


「あ、ありがとう。」


 結局、肯定するような返事をしてしまい駅に着いた。

 また明日と手を振る彼女と別れ僕は一人頭を抱えながら電車に乗った

新作

なんでも出来るよ、山本先生‼︎

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