12話
今日は仕事の日です。どんなお仕事かというと、今日は1ヶ月後のライブの宣伝を兼ねて、あまりアイドルの出ない夜遅めのバラエティの収録だった。
だべくり007という人気番組で内容的にはゴールデンに移行は出来ないが人気でいえばゴールデンモノだろう。
「始まりました、だべくり007。え〜いつも変わらずむさ苦しい中年7人でやっております。」
「いやぁ、華が欲しいね。」
「華といえば、今日はゲストが女性の方だそうで。」
「あ、そうなんだ。でも、スタッフがさ、今日ずっと忙しないんだよ。」
「そうそう、だから俺、すげぇゲストくるんじゃねぇかな?って思ってんだよね。」
「え〜誰やろなぁ...。」
「いやぁ、どうなんだろ。案外さ、ほらこれかよ〜〜みたいなのあるじゃん⁉︎」
「あ〜わかるわかる、誰だ!って思ったら...長良やないかい!」
ドッ \アッハハハハハハ!!!/
「無田、お前ホンマ殺すぞ!」
「まぁ、あまりゲストおまたせすると悪いのでそろそろ、行きましょうか。この方です〜!」
私は、少し笑いを隠しきれない笑みで階段を降りつつ登場する。
「「「「「「「「「うわぁあぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」」」」」」」」
観客と演者のまるで信じられないようなものを見る目と、声にならない叫びが私の耳に突き刺さる。
「え?え?ほ、本日のゲストは?世界的アイドルYuuuさんです。え?嘘でしょ?」
「いや、そらスタッフとか、警備とか厳重な理由だ...。」
「えぇ、ってかええの?こんな番組来ていただいて?」
「いや、ずっと出てみたかったんです〜。」
「待って待って、生で見るとってか、この距離っていうのかな、可愛いと知ってたんだけどもう、ヤバイ格が違うっていうのかな、俺死にそう。」
「わかる、すげぇ良い匂いするし。」
「わかりますけど、オリケンさんキモいですよ。」
「いやぁ、我々もこの業界長くいますけど、流石にこんなに可愛いのは中々...。」
「いや、いないよ、他にこのレベルは。他の子にすげぇ申し訳ないんだけど、人間っていう種族を絶対超えてるもん。」
「え、どうなの、Yuuuちゃんってこの番組みたことあるの?」
「もちろんありますよ!長良やないかい!が好きで、今日裏で聞けて幸せだなぁって...。」
「うわぁ!やっててよかったぁ!」
「嬉しいなぁ!でも、ちょっと複雑な気分やわ。」
「私も出れて本当に幸せです!」
「いや、みんなYuuuちゃんに会えて幸せだよ。あれ?複雑な奴いる?Yuuuちゃん確認してみて。」
「え〜、いますか〜?って、長良やないかい!」
「余計に複雑なったわ!!!」
ド ッ \アッハハハハハハハハッハッハッハ/
収録を終え、局を出る。裏に止めてある車に乗り、香具師奈我さんと話す。
「ゆうちゃんおつかれ〜。随分とバラエティ上手くなったわねぇ。」
「はい、香具師奈我さんにいつも突っ込んでるからですかね。」
「そうかもしれないわね、そうならトレーニング料として今までの分考えても2千万ぐらい」
「そんなの請求されたらアイドルやめます。」
言葉を遮りそういうと慌てて香具師奈我さんは取り繕う。
「じ、冗談よぉ〜、そ、そんなにお金のことばっか考えてるわけじゃないしぃ。親孝行とか考えてるしぃ。」
ダウトだ、間違いなく。
まぁ、そんなことを突っ込んでたらこのmoneyジャーの元ではやっていけない。そう思ってると香具師奈我さんは少し寂しそうな顔で僕を一瞥すると過去の思い出話に耽り始めた。
「あの時の弱々しい少年が、ここまで美人になり、ここまで責任を負い、ここまで強くなるとはねぇ...。そりゃ私も歳を取るわけだ...。」
長良やないかい!を書きたいだけの回でした。
そこから無理やり過去編につなげてます。
毎度ながらですがアドバイス、推敲、やる気募集です。
そういえば妹の名前が美憂にかわりました。




