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10話

 全く、困ったものだ。

 僕も時々リプライを返して上げてるあのアカウントの持ち主がギャル1号だとは...。

 今からでもブロックしようか?いや、そんなことしたら不審過ぎるし、あんなファンを敵に回すのは怖い。


「ってか、フォロワーほぼ100万てなんだよぉ!」


「クソきも 女 男 うるさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ドシンと、隣から壁を叩かれ怒られ、僕はとっさにごめんと言ったが聞こえてはないだろう。

 まぁ、ここでごめんと聞こえるように言うと尚更彼女のこめかみは青筋を浮かべるので黙るが吉だ。


 ああ、説明し忘れていたが、隣の部屋の主は妹だ。


 美原 美憂(みう) 通称みみ。


 昔は仲が良かったが今はこれほどまでに仲が悪くなっている。

 特に両親が死んでから、僕の家族は壊れた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「行ってきます、いい子にお留守番よろしくね。」


 3年前、当時12歳の妹と14歳の僕にそう声かけて家を出た両親は僕達のお帰りを聞くことは無かった。


 僕は中学校で授業を受けている最中で、まるで、まるでドラマや漫画のように先生が駆け込んで来て、教室のすぐ外の廊下で最悪の報せを聞いた。


 海外で起きた爆破テロに巻き込まれたのだ。両親と判明出来たものは所持品だけで、顔、いや身体すらも酷い有様だったらしい。


 気づいたら僕は家にいて、数日が経って、数週間が経って、数ヶ月たっていて。

 そんな僕を支えてくれていたのは妹だけだった。


 自分が兄なのに、上なのに、何も出来なかった。


 妹は家計の節約のために料理を覚えていた。

 僕は虚ろな目でリビングのソファに座っていた。


 妹は服の洗濯が出来るようになっていた。

 僕は光の消えた目から涙を零していた。


 妹は僕のために学校に毎日休みの連絡をしていてくれた。

 僕は何も見えない目で過去を見ていた。


 妹は僕を慰めてくれた。

 僕は感情の無い目をしていた。


 妹は僕を求めていてくれた。

 僕は両親を求めいた。


 妹は、妹は。


 僕は?

内容が頭に思いつくのに文字にしようとすると出来ない。

この症状は!?!?!?


バ カ 。


はい。

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