表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/64

空漠

最近、食べ物の味はするのに美味しくない。

口に入れた瞬間は美味しいと感じるのに、食べ終わると後味が悪い。

特に味噌汁が駄目だ。吐き気すら覚える程に不味い。


光が眩しい。

テレビや人混みの雑音が煩い。

息を殺して生きている人間にはどちらも邪魔なだけだ。


サングラス越しの薄暗い世界。

ヘッドフォン越しの静かな世界。

心と一緒だ。

何も無い、唯ひたすらに虚無。

誰も居ない。

何の音もしない。

孤独、静寂、自分の呼吸音さえ聞こえない世界。

生と死の間も曖昧な世界。

それは夢と現の混ざる、混沌の世界の落とし穴。

息苦しく、痛みを忘れた躰は毎夜、血を求めて疼く。


甘い酒の誘惑に導かれるまま、吐くまで呑んで眠る日々。

絶対に理解し合えない存在と「親子」でいる関係。

正論が反転し、脆弱な弱点に変わる不条理。

この世界は汚物で出来ているかのように、腐った裏側の笑み。


「神様は乗り越えられる試練しか与えない」と言いながら、サービス残業、休日出勤で命を削り取っていく無能な歯車共。

拝金主義の戦争屋は、今日も銃声を聞きながら満足気に葉巻を吹かす。

たった21グラム地球が軽くなるだけだと弾丸をバラ撒いて、地球を重くする愚行に気付きもせずに安眠を貪る。

そのイカれた眠りを分けてくれよ。

朝陽を浴びる前に眠りたいんだ。

流れ弾に当たって死ぬ夢はもうたくさんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ