枯れ葉
僕は苛々しながらごそごそと鞄を漁って煙草を取り出す。
とっくに賞味期限が切れて香りが飛んだ味の薄い煙草を咥え、口一杯に重いだけの煙を溜めては鋭く吐き出し、夜空を蔑む様に立つ街灯を睨んだ。
何かに急かされる様にして立て続けに三本も吸えば、舌がびりびりと苦味を訴えてくる。
仕方なく携帯灰皿に吸い殻を無理矢理押し込んで蓋をすると、腹の底から盛大な溜息を吐いた。
両肩に頭の上、どんなに猫を被ったって、結局僕は捨てられる。
優しく遠回しに、何重にもオブラートに包んで、要らない僕を切り捨てる。
時には残酷な言葉で僕の存在を否定する他人も居る。
親に至っては、僕を理解しようとすらしていない。
誰にも必要とされない僕には何の価値も無いのだろうけど、それさえどうでもいいと思ってしまう程に僕は疲れてしまった。
だから僕は、自分が好きじゃない。
薬が効きにくい体質なので、最近は病院に行く度に「調子どう?外来で出せる一番強い薬出してるけど、効いてる感じある?入院してたらもう一段階強い薬出せるんだけど・・・」と、「入院」という最終手段を提示される。
しかし父には僕が「健常者」に見えているので、些細な事で言い争いが起こる。
昔、何の相談も無く勝手に一ヶ月間程家庭教師をつけられた事があったが、数年後「あの家庭教師代、ドブに捨てたな」と言われた事を忘れてやる程、僕は優しくない。
さあ入院、となったらどんな文句を言われるか分かったものじゃない。
父を刺して強制入院でもしてやろうかと考える僕は、やっぱり歪んでいるのだろうか。




