ヴァイオレンス前哨戦
気紛れにやってきたかと思えば、辺りは瞬く間に台風一過並みの惨状。
全く、はた迷惑もいい所だ。
好き勝手激しく暴れ回る癖に、時折死んでいるのかと思う程に気配を消すのは嫌がらせか。
面倒な事後処理に溜息が出る事は無くなっても、残された苛立ちは蓄積していく。
「扉を塞いだら蹴破ってきそうだしな……雨漏りより厄介だ」
今は優勢、ならば出来るだけの事をしておくのが道理だろう。
だが、対策など考えるだけ無意味だと分かっているので何もしない。
放っておいても、気が済めば終わる事なのだ。
下手に止めれば殺されるかも知れないが、こちらが何もしなければ何もされない。
お互いに干渉しない事で均衡を保っているのだし、乱入というルール違反であろうと口を出すつもりはない。
構って欲しい、と思ってルール違反をしているのなら尚更だ。
不意に、ちょっとした暇潰しを思いつく。
「……台風みたいに名前でもつけてやるか」
しかし、それは窓を叩く雨音によって呆気なく終了した。
…そうだ、ぴったりの名前があるじゃないか。
『ゲリラ豪雨』
それは奇襲の名に恥じぬ予測困難さを以て、災害を撒き散らすという。
「まさに………」
この頬を濡らす忌々しいそれを例えるに相応しい。




