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埋もれた忌は、産まれて奇となる
向き合ってはいけない。
気付かない振りをしろ。
それに抗う事も、まして勝つ事など出来はしない。
例え足が動かず、逃げる術を持たないとしても。
少しでも、この場に留まりたいのであれば。
───絶対に、向き合ってはならない。
ソレは、人目につかぬ様、───の深く埋められた。
───の中、内包されたソレは緩やかに、けれど確実に育まれていく。
憎イ───、恐、イ───
───死──デ、シマ──イ──イ
閉じた目の中にまで入り込んでくる、感情と言うには凶々し過ぎる意識。
明滅する赤色燈の様に、チカチカと残像を撒き散らしながら神経を染めていく。
息が、苦しい。
酸素は足りているのに、酸素が足りないと錯覚する。
───の涙で頬が濡れる。
アレは他人だ。
なのに、なぜ自分が泣いているのだろう。
視界に入らぬ様、厳重に───というのに。
「俺を───たいなら、───が───なきゃ意味がない」
逸らした筈の視界いっぱいに、見てはいけない───が。
「─────だ、諦めろ」
嘲る様に笑った、気がした。




