37/64
居場所
必要とされたいんだ
「居ないよりマシ」じゃ駄目なんだ
僕の居場所が欲しいんだ
誰かに「居て欲しい」と思われたいんだ
そんな僕を嘲笑う様に
今日も僕は不完全のレッテルを貼られる
どうして僕は完璧に出来ないんだろう
皆と同じ様にこなせないんだろう
ほんの少し 五分でいいんだ
もう少し時間が遅く進んでくれたら
僕だって普通になれそうなのに
腕時計は無慈悲に時を刻み続ける
指紋一つ残さぬ様に
時間は決まっている
証拠隠滅に勤しむ殺人犯の気持ちが
今なら理解る気がする
誰も居ない筈の背後から
革靴の音がする
僕を試す悪魔が忍び寄って来るんだ
僕を否定する為に
僕の足跡を辿って
小さな糸屑一つ
見逃しはしない
空気が軋む感覚
僕を叱責する視線が突き刺さる
忘れていた筈の痛みが鮮やかに蘇り
僕は自分を卑下して落ち込む
どうせ僕なんて居なくて良いんだ




