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掃き溜め
アイツのせいでアイツが不機嫌になる。
アイツの不機嫌は全部俺の所へやってくる。
アイツを不機嫌にさせるアイツは、俺も不機嫌にさせる。
アイツとアイツの不機嫌は、全部俺へと流される。
なんでだ?
なんでだよ?
俺、何もしてないだろ?
なるべく怒らせないように、今まで頑張ってきたつもりだ。
なのに何故、そうやって俺を追いつめるんだ?
なぁ教えてくれよ。
できる限り逆らわず、俺はウソを重ね、ここまでが限界って事なのか。
俺は限界を越えて壊れ、とうの昔に壊れた俺に、これ以上何を押し込むつもりなんだ?
鏡を見ないアイツとアイツ。
俺は鏡の裏で泣く。
真っ赤な影を吐き出して、笑い声に怯えながら。
見る事も聞く事も話す事も許されなかった日々に、ダマせるだけの幸せを抱え夢を見た。
あの頃に戻れないから埋めていた。
アイツとアイツがまだ俺に毒を注ぐ前だった。
思い上がった傲慢なアイツとアイツが叫んでる。
「お前のせいだ」と言い放つ、アイツとアイツの声がする。
罵り合いの声がする。
また不機嫌を喰わされる。




