退き際
先日、就職などで一気にバイトが四人も辞めたので、「さすがにシフト増えるかな」と思っていた今月の出勤日は、まさかの四日しかなかった。
ここのバイトはもう二年近くやっているが、未だに教えて貰っていない仕事があり、そのせいでずっと研修時の時給のままだ。
自分より後に入った、自分より時給の良い後輩に仕事を頼む、というのは、露骨に「使えない先輩」という烙印を押されたようで釈然としない。
本気でここのバイトを辞めようかと思ったが、今この人手不足のタイミングで辞めるというのは、一応二年近くお世話になった以上申し訳ないので、代わりのバイトを探す間はまだ辞める辞めないの話はしないでおこう。
皮肉な事に、ここのバイトを始めたばかりの時が、仕事を覚えなければならないのでシフトがガッツリ入っていて一番稼いでいた。
今となっては月給五千円も貰えないバイトなんて正直やっていて虚しいし、それならもっと働ける場所で稼ぎたい。
色々と病気の事を気遣ってくれる上司ではあるので、その結果がこうなってしまっているのだとしたら悲しい結果ではあるのだが、今更「仕事教えてください」とも言い辛いし、仕事も出来ない事はしなくて済むように割り振られている。
優しさが仇になる、というのはこういう事だろうか。
一ヶ月ぶりに出勤して仕事を忘れている自分が情けなくなりつつ、先輩に確認を取る。
最近はそれの繰り返しだ。
人手不足で新しく求人を出しているのを見て、とりあえず来月まで様子を見ようと思った。




