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抑制

最近、薬を飲んでから実際に寝付くまでの時間が長くなってきている。

睡眠薬を飲んでから、もう五時間が経った。

それなのに眠気が来ない。


苛ついていたので煙草を吸った。

それでも収まらないので自傷をした。

いい加減、これ以外のストレス発散方法を知らない俺としては早く眠りたい。

まるでパチンと電源を切る様に呆気なく、夢も見ずに深い眠りに落ちてしまいたい。


空が明るくなるにつれて、どんどん現実が俺の心を浸食していくのが分かる。

俺を追い詰めてどうしたいんだ。


ゆっくりと腕を伝い、真っ白いティッシュの山へ落ちて、それをかき氷の如く赤く染めていく血は、ぬるりと指先を濡らしては蒸発し、ベタベタとした不快な感触を残す。

不意に思い付いて、試しにぺろ、と舌先で指を拭ってみると、乾き始めてベタついたその感触から想像した不味い苦さのようなものはなく、むしろほんのりと甘かった。


人間は、本能的に血の味を嫌悪する。

血が甘く感じるという事は、俺の心は相当にイカレているんだろう。


血の味をどう感じるかで自分の精神状態を図る程に、俺は俺自身というものを信じていなかったし、自傷行為はすでに生活の一部になっていた。

何か「自傷行為をしてはいけない」理由を作らなければ、自傷行為を止める事が出来ない。

何か、何でもいい。一つでも理由を見つけなければ。


今の俺は、自分の血しか信用出来ない。

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