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歯科医院

奥歯が欠けた。

いや、正しくは「御手洗団子の粘着力で持って行かれた」と言うべきか。

結構なデカさの歯の欠片を吐き出して、これは早めに何とかしないとヤバそうだと思い、馴染みの歯科医院へ行く事にした。


久しぶりの歯科医院。

午後の診察時間になってすぐ、予約をしようと電話をかけてみた所、明日の朝が空いていると言われた。

しかし、それでは遅い。

今日中に何とかしないといけない気がしたので、なるべく早く受診したいと伝えると、なんと返ってきたのは「十分後に来られますか?」という問い。

昼寝直後で着替えやら歯磨きやら何やらで、さすがに十分はキツいので「二十分から三十分位なら・・・」と答えると、他の患者さんの予約が入っているらしく、それまでに来られるなら大丈夫だと言われたので、歯磨きだけは念入りに、他は適当に支度してダッシュで家を出た。

鈍った体で限界まで走って、後は呼吸を整えつつ早足で歯科医院へ向かう。


到着するまでには何とか呼吸も通常に戻ったが、やはり歯医者は怖い。

あの小さなドリルが歯や詰め物を削る音は、子供でなくても精神的ダメージがある。

通っている歯科医は、神経を引っこ抜いた時も親不知を抜いた時も丁寧にやってくれたので、腕の方は全く心配していないのだが、それでも怖い。

上の親不知は変な生え方をしたので左右両方共抜いてしまったから、その時に「下の親不知が生えてきたら抜くよ。噛み合わせる歯がないからね」と宣告されていて、若干生えて来ている事に軽く絶望しつつ、歯科医院のドアを開けた。

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