酒飲みの血筋
最近、「黒宮さんて意外とお酒強いんだねぇ」と言われる事が多い。
俺は酒も煙草も両方やるが、どうやら「大人しい=下戸」という印象があるらしく、酒の席では大抵驚かれる。
飲んでも顔色に変化が出ず、受け答えも呂律もしっかりしているから、かなり酔っていてもまず分かって貰えない。
先日は付き合いでビール中瓶三本だとか、ほとんどロックに近いハイボールを飲んだりだとか、知らず知らずの内に飲酒の機会が増えた。
本当は医者に「酒はなるべく控えるように」と言われているのだが、どうやら俺には酒飲みの血が流れているようで、毎日ではないものの、結構な頻度で飲んでいる。
というか、飲まなきゃやっていられない。
ストレスに比例して酒量と喫煙量が増える。
酷い時は、飲んで飲み過ぎて吐いてリセットして、そこからまた飲む。
幸か不幸か、二日酔いにはなった事がない。
いや、大分昔に一度だけあったか。
用事があるのに飲んでしまい、そのままうっかり眠って三十分程度で目が覚めた時に、ぐわんぐわんという頭痛がした。
それから深酒は止めようと思ったのだが、眠剤が効くまでの繋ぎとして飲んでしまう事もある。
しかし、睡眠薬を処方する医者が忠告する通り、医学的にも眠剤を酒で飲むのは止めた方がいい。
というか絶対禁忌だ。
一般的な眠剤で死ぬ事はないだろうが、まず記憶が飛ぶ。
思考も曖昧になっているので、誰かにメールを送ったり何やらするのも、後々の事を考えると止める事をお勧めする。
母方の血筋は全員下戸だったので、成人してから久しぶりに会った従姉妹は、てっきり俺も下戸だと思っていたらしい。
反して父方の血筋はと言えば、祖父が大酒飲みの酒乱、祖母も酒は飲める方だったので、当然ながら父も飲む人間だ。
残念ながら父は酒乱でこそ無いものの、酒量が増えると絡み酒で面倒臭い。
酒は飲んでも呑まれるな。
「いつ間に飲んでたの?」と聞かれる俺みたいに、もう少し静かに飲んでくれ。
酔っ払いの相手をするのは疲れる。




