春病み記録

幹事

「何で俺が幹事なんだよ・・・」

思わず頭を抱えると溜息が零れた。

確かに「打ち上げが出来そうな店知らない？」と訊かれた時にバイト先の居酒屋を提案したのは俺だけど、だからって全部俺に一任されても困る。

第一、俺はこの飲み会の参加者の中では最年少だ。

いや、子供達も参加させたいって言った保護者もいるから、正確には最年少とは呼べないが。

最初は、子供を居酒屋に連れて行くのはどうかと思ったし、保護者達も参加しないと言っていたのに、急に「やっぱり子供達も参加させたい」と前言撤回された。

しかも、「酔った大人が子供に何かしないとも限らない」という理由で「場所を分けてくれ」という要求付きだ。

どんだけハードル上げんだよ。

確かに俺は店員だけど、だからと言って何かの権限がある訳ではないから割引なんかは出来ないし、部屋割りだって上司に「出来ればこうしたいんですけど」と伝える事しか出来ない。

上司が無理だと言えばそれで終了なのだ。

それに、ファミレスと違って居酒屋はソフトドリンクの種類が少ない。

子供向けの料理は少ないし、更に俺のバイト先の宴会向けのコース料理はボリュームがあるから、子供が食べ残すのは目に見えている。

毎回、宴会の片付けで残飯をゴミ箱に棄てている俺としては、食品ロスの事を考えてしまって気が重い。

成り行きで幹事にされてしまった以上、仕方ないのでやれるだけの事はやるつもりだが、正直、この飲み会は平和に終わる気がしない。

こんな事を任される位なら、精神障害者だと明言してしまえばよかった。

それだけ健常者に紛れてるって事なのかも知れないが、出欠の確認だとか本当に細かい事まで気を配らなければならないのは精神的にキツイ。

また、眠れない日が来るんだろうか・・・。

あぁ、頭が痛い。