表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/64

大人になった「プー」

母は、僕が幼い頃から、時折僕の事を「プー」や「プー太郎」と呼んだ。

僕の名前の後に「プー」をくっつけて呼ぶ事もあった。

なぜそんな呼び方をするのかは分からなかったが、僕は「プー」が何を意味するのかを知らなかったから、特に何の疑問も持たず、そう呼ばれ続けていた。


「プー」の意味を知った時にはもう手遅れで、「名は体を表す」という言葉通り、僕は引きこもりニートを経て立派な「プー」になっていた。


それでも人生「これやって駄目なら死のう」と思ってトライすると何とかなってしまうもので、今では「プー」から「フリーター」にジョブチェンジして、「Wワーク」というスキルも身に付けた。


先日、また新しいバイトを始めると知った時、「そんなにバイトしてどうするの?」「さすがに三つはキツイだろうから止めなさい」とでも言われるかと思いきや、そんな心配なんか一切されずに、父には「そんな所で働くのか」「嫌な思いしたからってこっちにあたるなよ」と、ふざけた事を言われた。

お前が昔、会社で嫌な事があった時に母に愚痴り、そのとばっちりでストレスの溜まった母が僕を叩いたり暴言を吐いたりしたのを忘れたのか。

随分都合の良い頭してるな、と思ったが、こいつは母や僕に愚痴ったり八つ当たりした自覚がないから、もしかしたらそれが虐待のトリガーだった事さえ知らないのかも知れない。

母の方は、露骨に嫌悪感らしき感情を出して「そんな仕事は認めない」と僕を無視するようになった。



日本国憲法第22条 第1項

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。



上記引用の通り、この国では「職業選択の自由」が保証されている筈だが、この家にそんな憲法(ルール)は無い。

中学生の僕を叩いて「お前が入れる高校なんてどこにも無いんだよ!働け!」と怒鳴った母と、その話を聞いて「こんなのを雇う奴はいない」と笑った父だ。

うちが「一般的な普通の家庭」ではない事は僕が一番良く知っているから、今更この二人には何の期待もしていないし、ただ僕を不快にさせないでおいて欲しいだけなのに、どうしてそれが出来ないんだろうか。


的外れな説教や持論の押し付け、「どこ行くの」「何時に帰って来るの」等の過干渉が鬱陶しい。

素直に答えれば渋い顔をし、かといって答えなければ不機嫌になる。

「お前の為に言ってるんだ」と言うお前らの言動が僕のストレスなんだから、本当に僕の事を最優先で考えてくれるのなら黙っていて欲しい。


新しいバイトが上手くいくかどうかは分からないが、無理しない程度に頑張ろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ