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眠らない孤独

静寂が支配する真夜中。


俺はベッドで眠る恋人の寝顔を穴が空くほど見つめながら、その首を絞めたいという思いを溢れそうになる涙と共に押し殺していた。


嗚呼、そうだ。

俺は隣で安らかに眠る人間の寝顔を見ると、何故だか愛しさではなく殺意を覚えるのだ。

元々眠りが浅い俺は誰かと一緒に寝ると普段より小刻みに目を覚ますし、何より隣の微かな寝返りにさえ反応して目が冴えてしまう。


当然、そんな事を知る由もない相手が呑気に寝ているのは仕方ない事なんだろうが、それでも憎くて、普通に寝られるのが羨ましくて。

そこで俺はいつも、どうしようもなく埋められない溝を実感して、孤独に苛まされる。

気付かれない様にひっそりと声を殺して泣いた事だって、一度や二度じゃない。


本当は、この胸の中でどす黒く蠢いている感情をどうにかして欲しい。気付いて欲しい。助けて欲しい。

でも、そんなのは無理だと分かっている。

だから俺は、眠るまで恋人への殺意を抱いたまま、ただ時間が過ぎていくのを待つ。


目覚めれば、俺はちゃんと恋人を愛している筈だ。

俺が耐えきれなくなって恋人を殺めてしまわない限りは。

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