嫌な考え。
確定した来月のシフトを見て、僕は思った。
もしかして、これは僕に辞めて欲しいんじゃないだろうか。
「出られない」と申告したのは、通院がある二日間だけ。
なのにシフトは一日しか入っていない。
一ヶ月もあるのに、だ。
先月もそう、出勤日は一日しかなかった。
月に一回しか出勤日がないなんて、それはバイトをしていると言えるのだろうか。
もう一つのバイトは、「週三日から四日で」と申告したのに週五日ペースで出勤になっている。
これはこれで頭が痛いが、まあ拘束時間も短いので何とかやって行くしかない。
所得税として結構な金額が天引きされているので、面倒だが年末に申告して取り返さなければ。
もう最初のバイトは諦めて他に別のバイトを探すか、それともそちらは一応継続しておいてトリプルワークをするか。
昼間なら時間が空いているから、それも可能だし悩みどころだ。
問題は僕の体力か。
近場で条件の良いバイトを探さなければ。
精神障害者保健福祉手帳二級の人間が、なんでこんな苦労をしなきゃならないんだろう。
最初のバイト先は僕の病気の事を知っているけど、二つ目のバイト先では隠している。
二級の人間が常人でも滅多にやらないトリプルワークなんて無謀だろうか。
すでに鬱が悪化した事は担当医に伝えてあるが、三つ目のバイトを考えている事は話していない。
食料品の買い物に行くと、「保冷剤の効果を長持ちさせる為の蓋代わり」と言って必ず求人情報誌を貰ってくる母は、僕の鬱が悪化している事に全く気付いていない。
バイトを探す為じゃないって言った癖に、何故「これなんてどう?」と良さそうな物をラインマーカーで囲って聞いてくるんだ。
嘘吐き。
だから僕は「トリプルワークでもさせる気なの?」と聞いたけど、「そういう意味じゃない」って否定するなら、その手に持った求人情報誌を僕に渡そうとしないでよ。
僕は、何に追いつめられているのかも分からないまま、どんどん鬱を悪化させていく。