等級変更
手帳やら何やら諸々の更新期間になったので、担当医に診断書を書いて貰わなければならなくなった。
役所で貰った診断書の用紙を何となく見ていたら、実生活での状態はどうなのかという項目があって、「これは各項目ごとに、どういう状態か分かった方が担当医も分かりやすいだろう」と思い、レポート用紙に「この項目はこういう状態です」というのを箇条書きで書き出して、診断書と一緒に担当医に渡した。
すると担当医は、「これは助かる」と非常に喜んでくれた。
どれだけ病院で診察をしていても、診断書の項目にある「実生活」がどうなのか分からなくては書けない項目もあるので、場合によってはわざわざ患者の家に電話して尋ねる事もあるそうだ。
担当医の言ったとおり、前に診断書を頼んだ時はかなりの時間がかかったのが、今回はあっと言う間に「出来たので取りに来て下さい」という連絡があった。
役所に提出したりする専用の診断書を書いてもらう場合は、こういう「自己申告」を添えておくと、少し早めに書いて貰えるかも知れない。
診断書を受け取り、そのまま自立支援制度の更新も同時に申請したのだが、厄介な事に役所の人がミスをした。
重要な上限額の区分を間違えたのだ。
俺は「何で変更になったのだろう」とは思ったが、まさか役所の人間がミスをするとは考えなかったので、とりあえずその場は帰宅した。
しかし、帰宅後、父に「何で変更になったか分からない」と言うと、父はネットで調べて「これはおかしい」と指摘、「役所のミスだ」と断言し、すぐさま役所に電話して確認させた。
結果、やはり役所のミスで、役所がそれを認めた途端に「そっちは信用出来ないから、修正した書類を送ってくれ」と父はブチ切れた。
当然、その場で確認しなかった俺も文句を言われたが、そんな似たような書類を何枚も書いたり窓口できちんと申請する作業を問題なく出来るような人間は、そもそもそんな制度の世話になっていないだろう。
数日後、間違いを修正したものではなく、完全に新しく書き直された書類が家に届いたが、封筒に入っていたのはその書類一枚だけで、「すみませんでした」の一言もなく、俺は何とも礼儀知らずなやっつけ仕事だと思った。
それに、そもそもこの書類は確かに俺の名前で申請してあるが、他人が書いた物を提出するのは公文書偽造にならないのか?
「自署または押印」とある欄は、他人が俺の名前を書いている訳だし。
まあ、役所が勝手にやった事だから俺に責任はないしどうでもいいが。
何だかんだで自立支援の方も無事更新出来たし、後は手帳だな、なんて思ってたら、まさかの等級変更で驚いた。
手帳用の写真は、デジカメで撮った写真をプリントアウトしたものを用意したのだが、最初は色が白過ぎて背景とシャツと顔の境界線が消えて心霊写真みたいになり、二回目にプリントアウトしたものは白い背景と顔が何故か赤くなり、三回目のプリントアウトでようやく使えるものになった。
役所へ行って新しい手帳を受け取ると、そこには「等級変更」の文字があり、通知の時だけじゃなくて手帳にも書くのか、と半ば感心してしまった。
しかし、これで余計に普通免許が取れなくなった気がする。
田舎は車がないと辛い。
以前も「車の免許取りたいです」と言って却下された事のある俺は、更に遠くなった免許取得を思い、大きく溜め息を吐いた。