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僕らの小規模戦争  作者: モリリンモンソン
第1章 お腹がすいたのなら農業をしなさいよ
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第1話

畑仕事はいつの時代も生きるのに必要な仕事で、どこかの誰かが作った野菜や米をなんの感謝もなく当たり前に食べているのが一般的な消費者像だろう。是非に考えていただきたい。食べ物を食べて感謝をすることがあったとして、それは果たして、生産者に対してであったことが1度でもあっただろうか。恐らく大多数の人間は、料理の作り手くらいが関の山なのではないだろうか。汗水流して農家が作り上げた食材だと頭では理解していても、それに見合った金を払ってるのだからわざわざ感謝などする必要を感じない、とまで思う人もいるだろう。

僕は自分の畑から取れた大量のナスを見つめがら、ふとそんなことを考えていた。

大いに結構。

他の農家はどうか知らないが、僕に限ってはそんな感謝などされる筋合いも必要も無い。

「さて、と」

以前、近くの村に訪れた行商人から1000ビムルで買った折りたたみ式の椅子をパタンと閉じ、目の前のおよそ1町歩程度の、先程までナス畑だった場所を見つめた。次は何を植えようか。そんなことを考えながら、力を込めて足で地面を踏みつける。

トン。

瞬間、畑の土が地下1m程度から一気に持ち上がり、ふわふわと空中に浮遊した。再度地面を踏むと、持ち上がった土が静かに畑へと戻っていく。およそ2分で、ぐちゃぐちゃだった土壌は綺麗な畝のある畑へと変貌した。コンパクトになった椅子と、ナスの目一杯詰まった大量の箱を全て荷馬車に積み込んで次の場所へ向かう。個人的にはジャガイモを植えたいところだが、いくら僕にも連作障害まで防ぐことは出来ない。そうだ、ここ数年やってなかったし里芋にしよう。里芋の大きな葉が1面に広がる風景が、なぜだか昔から好きなのだ。

僕は鼻歌を歌いながら、目的地の田んぼへと荷馬車を進める。今年は200町歩ほど作っているし、近隣の村の献上分ならば補って余りあるだろう。さすがにこの規模を準備するのは骨が折れたが、これらを人力で開拓してきた過去の開拓者たちの努力を考えれば文句など言えまい。一日で出来たし。午前中にはあとキュウリとかぼちゃの畑を確認して、午後には苗を注文するためにひとまず村まで降りよう。量が量だけに、早めに頼んでおかないと準備が出来ない可能性もありうる。まあ、だからと言って焦ったり急ぐ気もさらさらない。僕は優雅に山道を進みながら来春に何を作ろうかと考え始めた。いつもギリギリになって苗を発注するせいで、卸し問屋の嬉しそうな悲しい表情も少しは減らしてあげないと。ちなみに、ジャガイモは実はナス科の植物なのだ。だからナスの後にはあんまり植えるのは良くない。なかなかおもしろいだろう?

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