死ぬまで女子とキスする日は来ないと思っていた頃が確かに僕にもありました
「場所を教えるので明日私の家に来てください」
白浜さんからやっと連絡があった。とにかく直接会って説明したいと思って連絡したが無視はされなくて良かった。
にしても白浜さんの家か……、こんなシリアスな状況では無く普通に彼氏として行ってみたかったな。
まあちょうど明日は土曜日で部活も入ってない俺と白浜さんは学校がない、一方で雪は部活があるため邪魔をされず時間をかけてゆっくり白浜さんに説明できるだろう。
そして土曜日。
白浜さんから教えてもらった最寄り駅に行けば駅まで迎えに来てくれるというので、時間通り調整して来てみたが結構時間かかったな。白浜さんはいつもここから通学してるのか……
なんて考えながら改札を出たらすでに白浜さんが待ってた。
私服ワンピース姿の白浜さんも可愛いな、でも………なんて声かけよう。
「今日はわざわざ来てくれてありがとう。」
っと、先に声かけてくれた。
「別に大丈夫だよ。ちゃんと事情は説明したかったし。」
「彼女さんはいいの?」
……今日は白浜さんの当たりがちょっとキツイな
「今日はその彼女の家にお邪魔しに来たからね。」
ちょっと冗談混じりに言ったが
「フン、私以外の彼女がいるくせに。」
だめだ、取り付く隙がない、以前ならこんなこと言えば恥ずかしがりながらも喜んでくれたと思うのに。
不機嫌な様子の白浜さんに連れられて少し歩くと
「ここが私の家。」
「おお、お邪魔します。」
駅からは割と近いところにあったな。それにしても雪以外の女子の家にお邪魔するなんて初めてだ、失礼のないようにしないと。
「今日はお父さんもお母さんも出かけてるからそんなに緊張しなくていいよ。」
……白浜さんから見てもわかるくらい緊張してたのか俺は、恥ずかしいな。
そのまま白浜さんの部屋に通してもらいお茶を頂いた。よし、これからの話しが今日の目的だ。白浜さんもこっちを真剣な目で見てる。
「それじゃあ昨日の事情を説明するからよく聞いて欲しい。」
俺が切り出すと白浜さんも頷いた。
さて、まずはどこから話すべきか……
「まず白浜さんに言っておきたいのは昨日の告白のやりとりは嘘だったってこと。」
「……私だってずっと見てたよ、桜木君は告白受け入れてたもん。私より美人の天野さんに告白されて本当は嬉しかったんでしょ?
ほ、本当は私と付き合いながらも天野さんと仲良くしてたんでしょ!」
白浜さんが睨んでくる、けどなんか全然怖くない、むしろすごく可愛らしい。
おっとそんなことより誤解を解かないと
「何度も話すけどあいつは俺にとってただの幼馴染なんだって。まああいつはそうは思ってないかも知れないけど俺にとってあいつはそれ以上でもそれ以下でもない。あの時のはただの演技なんだ。」
「演技?」
良し、白浜さんがちょっと落ち着いてきた。
「ああ、あいつはなぜか知らないけど俺と白浜さんが付き合っているのを知っていた。それで、その……なんでかわからんけど俺のことが好きらしいあいつは怒って、俺と白浜さんを引き離そうとしたんだろう。あれだけ人が集まっているなかでカップルができたら学校公認みたいなものになって他の人が間に入れたりはしないからね。」
「そんな……、で、でもそうとわかってるなら断れば良かったじゃん!自分にはもう彼女がいるから無理です、って。私はそう言って欲しかった!」
ああ、落ち着いてきたと思ったらまたちょっと泣き目で睨んでくる。
ここからのことを話すときっと白浜さんを傷つけてしまう、でも彼女は今でもすごく傷ついている状態だ。それを癒すためにも本当のことを伝えよう。
「言えなかったんだ。あの時断ったら白浜さんに危害を加えるってあいつは言ってたからね。」
「…………え?」
「周りの人には聞こえなかっただろうけど、告白した後あいつは小さな声でそう言ってたんだ。断ったら自分の取り巻きの女子が白浜さんをいじめることになるってね。」
白浜さんの表情が驚きからハッ、となにかを思い出したような顔になった。まあボソボソ喋ってたことは周りの人もわかっただろうしね。
「それじゃ………桜木君は私を守るために…?」
「うん。もしかしたらそんなことしなかったかも知れないけどあの時はそう言わなかったら不味い気がしてね。でもなにを言わされようと俺の本当の彼女は白浜さんだけだよ。」
「う、うぇっぐ、そんな…ふぇっ…それじゃ桜木君は私を守ってくれたのに…んっく…私はひどいこと言って…」
白浜さんが泣き出した。つらい思いをさせちゃったみたいだけどなんとか誤解は解けたみたいだ。
そんなこと気にしなくていいよ、そう言って白浜さんを慰めるため抱きしめようと手を伸ばしたら、さっ!と避けられた。え!?まだなにか誤解されてるの!?
「白浜さん、今話したのは全部本当のことなんだ。嘘じゃない。」
「グスッ、……桜木君の話は信じるけどまだ許せない。」
え?誤解はもう解けたならなんでまだ怒ってるの?
「それでも、……それでも桜木君には断って欲しかった。」
「でもそれじゃ白浜さんがつらい目に会うかも知れなかったんだよ?」
「いじめられることなんかつらくない!!」
白浜さんがびっくりするほど大きな声で叫んだ。こんな白浜さんを見たのは初めてだ。
「桜木君、私は中学3年生の時にクラスの人にいじめられてたの。」
!?
そんなことがあったの!?
そういえば最初会ったころの白浜さんはなんとなく他の人を避けてるような雰囲気があったけどもしかしてそれが原因?
「教科書に落書きされたこともあったし上履きが無くなっていることもあった。話かけても無視されるなんてしょっちゅうだったよ。」
………
「それは確かにつらかったけど耐えられないものじゃなかった。
でも今回のは全然耐えられなかったよ。悲しくて悲しくて涙が止まらなくなったし死んじゃいたいとも思った。
ねえ桜木君、大好きな人にひどいことされるのに比べればいじめられることなんてつらくもなんともないんだよ?
桜木君が側にいてくれればそんなこと私は耐えられる。それでももし耐えられなかったら彼氏さんに支えてもらうもん。」
まあ今回は私の勘違いだったけどね。そう言って白浜さんはちょっと笑った。
でも俺は全然笑えなかった、そんなにつらかったなんて……それは俺をとても許せないだろう。
「ごめん白浜さん!俺が間違ってた、白浜さんが俺を許せないのも当然だ。」
「………今回は私も悪かったし桜木君が私を本当の彼女って約束しくれるなら許してあげる。」
心底反省して謝ったら許してくれて和解案もだしてくれた白浜さん。ありがとう、やっぱり優しいな。
「約束するよ、俺の本当の彼女は白浜さんだけです。」
ギュッ!
言い終えた途端に白浜さんが飛びついて来た。こんな風にされるのもずいぶん久しぶりなように感じる。
しかも
「私も約束します、私の彼氏さんは桜木君だけです。」
俺に抱きついたまま白浜さんも約束してくれた。なんか告白みたいで恥ずかしいけど嬉しいな。
つい頭をなでたらすごく嬉しそうに俺の服に顔を擦り付けてくる。
そのまましばらくイチャイチャしていると白浜さんが顔を上げてまっすぐこちらを見て言った
「ねえ桜木君、やっぱり約束だけじゃなくて……彼女の証明が欲しいです。」
証明?なんだろう、なんかプレゼントが欲しいのかな?もちろん白浜さんが言うなら俺に断る理由はない。なんでも好きなものをプレゼントしよう。
「もちろんいいよ。なにが欲しいの?」
すると白浜さんは顔を真っ赤にしながらすごいことを言った
「……キスが欲しいです。」
………えーーー!?証明ってそういうこと!?普通のプレゼントかなんかだと思った…
ヤバイ、もう断れるような雰囲気じゃない。白浜さんも真っ赤になりながらなんとなく熱がこもった目で見てくるし。
でもキスなんてしたことないから上手くできるかわからない……ええい!白浜さんは彼女なんだ、キスなんておかしいことじゃない。覚悟を決めよう!
決断して白浜さんに顔を近づけると白浜さんも目を閉じてこちらに顔を向ける。
そのまま顔が近づいていき……
チュッ
重なった。
だが恥ずかしくなってすぐに顔を離した。ヤバイ、ついに女子とキスしちゃったよ……
俺のファーストキスは白浜さんか……なんかすごく幸せな気分だ。
白浜さんの方はと見てみると頬を染めたままどこかをぼうっと見ている。
「えっと、白浜さん?」
声をかけるとハッと我にかえったようだ。
「その、キスしちゃったね?」
「う、うん。えへへ。」
白浜さんもすごく嬉しそうだ、なんか今の状況って他の人に見られたらバカップルなんて言われるのかも。
「で、でも!初めてのキスで緊張しすぎちゃってよくわからなかったからもう1回、もう1回だけしてください!」
うお、キスのおねだりをされちゃった!
もちろん断る理由もないし俺ももう1回したかったので、目をつぶって待ってる白浜さんにまた顔を近づける。
今度はさっきよりも長くするように…
チュッ
唇をしばらくつけたままにしてから離した。目の前に白浜さんの顔のアップがあってちょっとドキッとした。この恥ずかしさにはなかなか慣れそうにないな……
「ふにゃぁ…」
白浜さんが甘えた声をだしてまた抱きついてきた。
「桜木君。」
「なに?」
「キス気持ちよかった。」
「俺も気持ちよかったよ。」
「もっとして……?」
え!?さらに?
白浜さんの顔はすっかり緩んでいた、なんていうか目もトロンと蕩けている感じ。
甘えてくれるのは嬉しいけど俺が恥ずかしさに耐えられるかな?
でも白浜さんすごく可愛いし結局またキスしてしまう
チュッ、フッ……ンッ………チュク、!?
ちょっと苦しくなって口を開けたら白浜さんもそうだったみたいで舌が当たった!
すぐ顔を離そうをしたが白浜さんが頭を抑えて離させてくれない。
ン……チュクッ…………チロッ…………チュパァ……!
やっと離してくれたけど、今めっちゃ舌が…!
「桜木君のキス、チュー大好き。もっともっとして欲しいの…、舌クチュクチュするのもっとしてぇ。」
白浜さんは完全にハマっちゃったみたいだ。
結局俺達2人はそのままずっとキスし続けていた。
今回の話はR15の基準を守れてると思いますがちょっと自信ないです。
次話から本編と違う要素を入れる予定です。