3ー20
帰宅道。まだ電車に乗る前。ちーちゃんは相変わらずの部活で、このなんとも思わなくなった道をともちゃんと2人で歩いている。いつも通り他愛もない話しをして、そして駅でさようなら。そんな日常。
いつも通り過ぎて気付かなかった。
「そう言えば、どうした? 午後から元気ないよね」
「え? そう?」
「うん、間違いなく、心配そうな顔してるよ」
「それ、使い方間違ってない?」
「いや、あってるし!」
「まぁ、なんでも、いいけどさ。別に大丈夫だよ」
「それなら私もいいけどさ。」
「なに? それは私の真似?」
「真似してお金くれるなら喜んでやらせてもらうよ」
「芸人志望だっけ?」
「ううん。看護師」
「私の覚え間違いかと思った」
「まぁね。ってか駅前に新しいクレープ屋が出来たらしいんだよ! 行かない?」
「今日は早く帰らないと怒られるからまた明日ね」
「明日は私予定あるのよー」
「じゃぁ当分行けないね」
「ちぇっ。いきたかったなー」
そんなこんな話していたらそのクレープ屋の前を通ったらしく美味しそうな臭いが飯テロの如く食欲を増させる。
そのまま駅に着いた。じゃあねと手を振ってお互い違うホームに向かった。
ふと夕空になりそうな空を眺めた。いわし雲。それは昔から雨のサインとして見られる気象現象。明日は雨なのだろうかなど考えず、私は真剣に彼の事を考える。
答えなんか出ないにしたって、私はどういった風に動けばいいかぐらい、考えられる。避けるも暴露するも私次第なのは間違いない。だけど、そんな疑いたくないよ。