1ー8
授業が始まると直ぐに寝てしまうともちゃんを横目に、丸々4時間しっかりと授業を受ける。
そして、お昼ご飯になる。
「ねぇねぇ、知ってる?」
ともちゃんを起こしに来た、和田智恵美ちゃん、通称ちーちゃんがうさぎのように跳ねながら聞いてきた。
「ちーちゃんが急に人間をやめたことかい? それなら知ってるよ」
「うん、やめた覚えはないな。どこまで小動物扱いする気だ!」
私も小さいが、ちーちゃんは150cmを越えないので仕方がない。それに動きもボブな髪型も何もかもが小動物感を引き立たせる。
「なんか編入生が近々来ると言う噂を聞きました」
「その長い耳で?」
「怒るよ?」
「むしろ喜んで」
携帯の録画機能を起動させて待つ。
「むぅ……、やめた」
無性に頭を撫でたい。いや撫でてる。
「やめろ!」
「やめる前に編入生の性別を教えなさい」
手を退かせようと必死だが上手くいかないのを見てるのがまた面白い。
「う、噂によると男性!」
なんだつまらん。頭を撫でるのをやめてお弁当を開ける。するとともちゃんが匂いにつられて起きる。
「タコさんウインナー頂戴」
「その前に目覚めろ眠ってる机の上の女神」
タコさんウインナーを頭から食べる。ちーちゃんがぴょんぴょん跳ねながら自分の席に戻ってコンビニで買った野菜スティックと野菜ジュースを持って戻ってきた。