3ー16
オウギ。あの時はどのように見えていたのだろうか。
私はカバンに手を突っ込みメモ帳を探す。
あれ?
どこを探してもない。ここ最近リフレッシュの為に物語を紡ぐこともしなかったからメモ帳を取り出すこともしていなかった。
家に忘れてきたのだろうか。はたまたどこかで落としたのだろうか。落としたのならどこだろうか。場合によっては大変な事になりかねない。
まぁ、家にあるだろう。楽天的に体を起こすと先生と目が合った。
マズイ。
「はい、伊藤。これ解いてみろ」
「先生、全くわかりません」
「うるさい、さっさとやれ」
私は渋々立ち上がった。
授業も終わり、お昼休みになった。誰にも気付かれないようにそっと抜け出すことも出来たが、日常を送りながらやろうと考えた。
3人で集まりご飯を食べる。タコさんウインナーを食べたり取られたりといつものような食事。オデコの怪我の原因を聞いたりと普通にお昼を済ませる。
そして、定時、外から黄色い声が飛び交う時間。この時に彼女はこう言った。
「お、始まったねぇ。一緒に行くべ!」
なんでなまってんだコイツはと思いながらも私は溜め息を吐く。
「……今日だけだよ」
「……へ?」
ふたりして珍生物を見るような目で私を見るものだから急に恥ずかしくなった。
「べ、別に行きたいとかそういうんじゃなくて、仕方なく……」
「いや、そういうツンデレいらないから」
ぐさっと言葉が刺さる。ニヤリとしたともちゃんの顔は何かを察しているようだった。
「気分転換。別にいいでしょ」
私は1人早々に立ち上がり教室を出る。