3ー12
「うん、私がくっつけた」
そんなこと知っていたと言わんばかりに小さく頷く。
「月曜日だね、森谷雅美のお付き人が急に減ったのは」
「それは朝に2人が手をつないで登校しているの見られたからでしょ」
「そうだと思うよ。でもおかしいよね、全員いなくならないのって」
「それは、友だちとしてじゃないの?」
「まぁ、仮にそうだとして、なら相川絵理以外全員、あの不良グループの人達なんだけど」
「……えっ!?」
そんなはずはなかった。私とて無関心ながらあの悪軍団のメンツくらい知り得ていた。その中に性別が女の人はいないはずだった。
「まぁ、知らないだろうね。知らなくて彼女たちに告白した男子が病院送りになったことがあるくらいだから」
「えっ、ちょっと待って。そんな人達がなんで森谷くんの周りに?」
「簡単な話でしょ。彼もそのメンツのひとりなの」
おかしな話だ。ありえない。転校生を受け容れることなんてありえない。あの強固な結束力が壊されない限り、ありえない。
「ありえないとか思ってるかもしれないけど、現状証拠として十分でしょ」
「ちーちゃん。でも人から聞いた話だって言ってたよね」
「うん」
「ってことは、女の人たちもそうだったっていうのも人から聞いたこと」
「うん、そう」
「ホントのことなのかはわからないわけだ」
「うん」
否定しなければと思うがあまり私は必死にその理屈を組み立てる。
「それが正しいかどうか、私が聞いてみる」
「いや、それはやめた方が……」
「でも! 絵理ちゃんが心配だから……、もし本当なら私のせいだから」