3ー10
余は満足じゃ。と言わんばかりにルンルンな気分でカバン探しを再開する。いや、こし餡生クリーム白玉クレープの最強タッグ感は脳内の幸福パラメータを振り切る程だ。
と、なんやかんや目的物らしきカバンを見ているがなかなかピンと来るものはないらしい。
「こまったねー」
「んー」
自販機の横にあったベンチに座り、この状況をどうするか考え始める。しかし、いい案もなくただただ時間を無駄にしていた。
「しょうがないから今日は帰ろうか」
森谷くんからそう言う。私も残念ながら同じことを考えていた。日を改めて作戦でも考えるのが一番だと。
「うん、そうだね」
立ち上がり、一足先に歩き始める。しかし、なかなか追いついて来ないので振り返ると、何故かしゃがんでいた。
「どうしたの?」
私の言葉と同時に立ち上がり可愛らしく首を横に振る。
「なんでもないよ」
変なの。そう思って歩き始める。
時間は遅くないが、早くもない。夕飯の時間丁度に帰宅できるだろう。
「今日はありがとね」
「こっちこそ、クレープありがとう」
「いや、美味しかったしさ」
今日の振り返りをしながら改札を通る。
「じゃぁ、また明日」
「うん、じゃぁね」
お互い手を振って別れる。また明日なんて言葉に私は無意味なワクワクを感じる。それと同時に寂しい気分を味わう。
これがどんな意味なのかわからなかった。ただ浮遊する気分が頭をグラグラさせていた。
ーーーーもっと一緒にいたかったなーーーー
なんて思っちゃったりして。