3ー7
そう言うなり用紙を奪い、窓を閉める。思いもしない態度にイラっとくる。
「別にいいじゃない、息抜きにさ」
不服を垂れて私も窓を閉める。そのままベッドに飛び込み、枕を抱く。意味もなくただゴロゴロして寝ようかどうか悩んでいた。
実を言うと既に次のプロットは出来上がっていた。それは珍しく意欲的になっている。もしかしたら私の物語史上最長の話になるかもしれない。それでいて、最高に面白い物語。
近くに置いてあるメモ帳を開く。何度も見直して辻褄を合わせる。懐で温めるなんてせず出し惜しみしないでやってきた。けれど、この作品だけは誰の邪魔も受けたくなかった。
メモ帳をいつもの場所に置く。これで忘れないようになった。また、明日もしっかりと考えていこう。
目を瞑る。寝心地が悪くて枕を頭の辺りに置き適当に乗せる。
日頃の疲れが私を夢の中へ容易に誘う。
奇妙な夢。そう、目覚めたら忘れた夢。そんな夢を見る。
眩しい世界には私達だけだった。ここは空港だろうか。大きく開放的なガラスの奥には巨大なそれがある。
なんでこんなところにと目の前を見ると人が居た。大荷物を持って背中を向けているのは彼だろうか。歩いていく彼を追いかけるように叫ぶ。それでも止まらない。まっすぐと奥の方へ吸い込まれていった。
虚しい気持ちを持ってそれを見送っているのは私ともう一人だった。