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3ー5
そんなご飯休憩も後半に移り、女子トークが始まる。まぁ、相変わらずの飯田先輩と森谷くんの話だが。
そう、なにか雰囲気が変化していた。先週まではわんさかいた森谷組が今日はほとんどいない。何故か、ギャル系のこの学校でも問題児に含まれる輩が森谷くんと絵理ちゃんを囲っていた。傍から見たらリンチにでも合っているのかと思うくらいだ。
絵理ちゃんも正直萎縮しているようだ。黒髪に戻ったため、優等生のような佇まいがより惨めに見せていた。
それに打って変わって飯田先輩組は息を吹き返した。全盛期並の人が昼のサッカーを楽しんでいる飯田先輩に黄色い声援を投げていた。
「さ、飯田先輩の方へ行こうか」
「行かない言うてるやないか」
「ならふたりで行くー」
「え、それはちょっと」
「だから行こうよ!」
「いや、行かない……」
そんな会話を繰り返す。毎日飽きずに。
絵理ちゃんを見捨てるように。
私はまだわかっていない私の感情から逃げるようにこの状況を見て見ぬふりをしていた。
まだあのふたりの話は終わっていなかったのだ。