3ー4
「どうしたの! 私のタコさんウインナーになにがあったの!?」
ともちゃんの混乱は私にまで乗り移った。
「え、そんなはずは……」
恐る恐る食べる。口に入れた瞬間に唾液が溢れるように湧き出し、舌はナメクジのように小さく萎む。
「しょっぱっ」
自分で作っていたお弁当。はじめの頃は卵焼きを焦がすなどあったが、こんな失敗なんて最早初めてに等しかった。
「まぁ、食べられなくもないけどね」
動揺している。今にも泣き出しそうなほどショックだった。しかし、ともちゃんはそれをなかったかのように、一気にタコさんウインナーを食べる。
「うん、ご飯が進む」
そう言うともちゃんの主食はメロンパンだった。
「ご、ごめん」
「いいのいいのー。こんなんでも美味しいからさ」
そう言いながらペットボトルのお茶を半分くらい飲む。
「言ってることとやってることが一切噛み合ってないですよー」
「うるさい! 草食動物にはわからないことなんだよー」
「野菜は大切なのだ」
そう言って人参を食べ始めた。
「まぁ、たまにはあるよねー。失敗なんて」
「いや、失敗じゃない。これはご飯を食べるためだけに作られたものだ!」
「だから、ともちゃんの主食はメロンパンじゃん」
「あ、ホントだ」
バカなのかもう。そう思うと思わず笑ってしまった。なんかもう、面白かった。