表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先  作者: kazuha
プロローグ
6/211

1ー6

 そう言うと本を閉じて私を見た。

「でも売れっ子になってよかったよ。でないと黒歴史になるんでしょ? こんなに面白いのに」

 視線をそらす。

「はいはい。それ言うために開けさせたの?」

「うん。ダメ?」

「執筆の邪魔って言ってるでしょうが」

 振り返って机の前に行く。

「今回は面白くなかったけどね。泣けないよあれじゃ」

 その意見に耳を貸しながら座る。

「愛情よりも友情に響かせた方がまだぐっときたし、展開引っ張ればもっと良くなったと思うよ」

「長いって言ったの誰よ」

「誰?」

「あんたよ」

 右上にあるバツ印をクリックする。

「1冊分削ったのよこれでも。長いって言うから」

「そうだっけ?」

「そうよ」

 そして、ワードを開き筆を動かす。

「でも、やっぱりお前の作品好きだわ」

「……あっそ」

 エンターキーを押してキーボードから手を離す。また、悲しい話しになりそうだ。

 世の中は不条理だ。思い描く方向へとは全く進まない。運が定めた道にしか進むことはできない。神のみぞ知るその先。私は一生恋愛なんかできないのだろう。こうやって夢物語を書き、それで満足しているのだから。

 本当に不条理だ。1度も彼氏のいなかった私の恋愛小説がまさかこんなにも売れるなんて誰が思ったことか。

 筆を進める。プロットがもう頭の中で出来上がっている。

 あの日見た美し過ぎる結婚式を夢見た少女の、儚い時間のお話し。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ