2ー46
「やめろよ」
鋭い口調。それを諸共せずに物語を進める。
「半ば強引に別れられた。彼女の為と思って辞めたのに理解されない。彼女の為に勇気を振り絞って未来を捨てたのに。そういった憎悪が学校の不良グループへと導いた。違うかな? そして今思うんでしょうね。アイツのせいで、落ちこぼれたって」
「やめろっつってんだろ!!」
押し倒される。不意の攻撃に私は身構えもできず両手を封じられてマウントを取られる。
「お前になにがわかる! 勝手に人のことを最低呼ばわりしておいて、何がわかるってんだよ!」
「最低じゃんか。結局のところ何もかも捨てた生活になった訳だ。底から自分の希望へと戻らなかった。自分が1番わかってるよね? ホントはまだ間に合ったかもしれないのに、君は戻らなかった。プライド? 羞恥? わからないけど、全てを諦めたよね」
「ちげぇ! 諦めてなんかいねぇ!」
「なら、なんで好きなのにその事伝えないでただ見守ってるだけなの! それじゃ絵理ちゃんが可哀想じゃん!」
悲しい表情を浮かべる。そして、拘束していた手を離して私に背を向けた。
語句を強くした事に反省をしながら次の言葉を紡ぎ始める。
「別に、私の事じゃないし、最近出会ったばかりの同級生に対して説教を垂れる程偉くもなければ生きてもないけど、女としての私の意見は聴いて欲しいかな」
そろそろ頂上であった。観覧車の頂上では色々な言い伝えがあったりする。告白すれば叶うとか、キスをすれば永遠に結ばれるとか。それは単なる祈願に等しいのだが、最早暗黙の了解の様に誰も否定はしない。きっと先に行った絵理ちゃんは最後の分かれ道に達していることだろう。
「全部オレが悪いんだ」
座り直した香川くんがとうとう重たい口を開いた。