2ー38
ゴールと言うには少しばかり賑やかだった。お化け屋敷の無音からこの賑やかさは現実に戻されたと言う感覚そのものだった。
「お疲れ様でーす」
陽気な声で近寄ってきたのはここのスタッフだろうか。実に健康そうな男性の声にホッとするような音が聞こえた。
「いかがでしたか?」
「めっちゃ怖いっすよ!」
香川くんが口を出す言葉に同意する。私が怖いと感じたのだからかなりであろう。
「それは大変嬉しい限りです」
にこにこしながら私たちをマットから別の場所へと移動させた。どうやら次の人がそろそろのようなのだ。
「お兄さん、子供のお化けいたけど、ホントに子供?」
香川くんが興奮気味に聞く。そんなわけないだろう。何かの仕掛けに決まっている。そう思ったがスタッフの人の顔色が淀むのを確認してしまった。
「どこのエリアでしょうか?」
「え? 子供部屋だよー、玩具とかいっぱいあった」
「そこは……いわゆるお休み場所で何もない筈なのですが……」
それを聞いて背筋が凍る。
「じゃぁ、入ってすぐの鏡に写ったその子も?」
「そのような仕掛けはございません」
「最初の部屋過ぎてからの壁の血文字も?」
「最初と言いますと、ゾンビが襲ってくるところですかね?」
「そうそう!」
「その先には何もないはずなのですが……」
私の問が全てなかったものであった。私はともかくとして他の3人の顔色が凄いことになっている。私も同様な顔になっているのだろうか……。
スタッフの人にお願いをしてお塩を体にかける。まぁ、清めと言うやつだ。




