2ー36
この階が最上階のようだ。上り階段は途切れ見えるのは彼方先にエレベーターらしき明かりがあるくらいだった。私も警戒しながらエレベーターへ向かう。
何もなくエレベーターに着く。その途端に下のボタンが光り、エレベーターが動き出す。エレベーターがたどり着き開く。
すると後方で大きな音がする。振り返ればまたあの女性がゆっくり寄ってくる。ふふふ、と不気味な笑い声をあげて。
半ば押し込まれる形で中に入ると、香川くんが必死に閉まるボタンを押す。しかしなかなか閉まらない。良く見ればいつの間にか地下1階のボタンが押されていた。誰が押したのだろうか。
マリエさんがそろそろ中に入れそうな時にやっと閉まる。エレベーターが動き出すとみんなから安堵の息が聞こえた。
「いやーこれで出れるね」
「よかったよかった」
「怖かったよねー」
「マジで怖い」
「楽しかった」
「マジー? 一番ビビってたじゃん」
「いやいやお前だろ一番は」
何だか不思議な会話だ。2人の会話を聞いてて何か不可思議に思う。よくわからないけど。
そしてたどり着いたのは、地下の薄暗い場所だった。夏だと思えないくらい寒く私でさえ進むことを拒みたくなるような雰囲気。
「なにここ……」
「終わりじゃなかったの?」
私を先頭に進んでいく。森谷くんなんかはもはや気絶しそうなくらい顔色が悪かった。
進んでいく。壁には何やら書いてある。危ない、入るな、やめろ、待て、など注意喚起しているものがほとんどだった。そして『dangerous』と書かれた扉の前に着く。しかし、ここは素通り出来る場所でもあるみたいだった。
「聞いたことある。最後だけは入るも入らないもよしだって。あまりに怖すぎて」
それは入らない方がいいのかもしれないな。私はそう言おうとした瞬間、扉は開きそして、誰かに押し込まれる。
扉は独りでに閉まる。やられた。トラップだったみたいだ。スタッフに押し込まれた様だ。
仕方ない。覚悟を決めると部屋を見回した。どうやらここは、霊安室のようだった。